燃料費高騰でタイのEV市場が急加速——バンコクモーターショーの予約71%増

中東情勢悪化に伴う原油価格の上昇が、タイの電気自動車(EV)市場に予想外の「追い風」をもたらしている。2026年3月25日〜4月5日に開催されたバンコク国際モーターショーでのEV予約台数は前年比71%増の13万2951台を記録。中国BYDが38.5%のシェアを持つEV専業勢が市場をけん引し、2026年通年では12万台超のEV新規登録が見込まれている。

「ガソリン高→EV」の動きが加速

中東危機の影響でタイのガソリン価格は2026年に入って高止まりが続いており、通勤・商業利用のコスト意識が高まっている。「ガソリン代を考えたらEVの方が長期的に安い」という判断が消費者に広がり、モーターショーでのEV予約急増につながった。バンコクで流しのタクシードライバーがEVに切り替えるケースも増えており、商業用途でのEV普及が次のフェーズに入りつつある。タイ政府も「EV3.0」「EV3.5」と呼ばれる補助金制度を継続的に実施。購入補助金(最大15万バーツ)と輸入関税の大幅削減によって、EV価格は「庶民が手の届く選択肢」へと変わりつつある。

BYDが圧倒的なシェアを維持

中国電気自動車メーカー・BYDは38.5%という圧倒的なシェアを武器に、タイのEV市場で独走状態が続く。2026年1月のBYDの販売台数は前年同月比181%増という爆発的な数字を記録しており、GACアイオン、MG(SAIC)、長城汽車(GWM)など他の中国ブランドも続き、中国系ブランドがタイのEV販売の約85%を占める。一方で日系メーカーはEVシフトへの対応が遅れており、トヨタ・ホンダなどの「タイ自動車市場での絶対的地位」が初めて本格的に脅かされている。

充電インフラも急拡大——全国1万1000か所を突破

タイ国内のEV充電ステーション数は2026年第1四半期時点で1万1000か所を超えており、主要高速道路や商業施設への設置が進んでいる。国有エネルギー企業や外資系のウォルボルトなども充電網の拡充に投資しており、2030年までに5万か所を目指す国家計画も策定されている。燃料高騰と補助金政策の組み合わせが、タイのEV移行を世界の中でも最速クラスで進めている。

タイトルとURLをコピーしました