タイ運輸省は、電気自動車(EV)の普及を一気に加速させる「30万台普及計画」を本格的に始動させた。シリポン副相が発表したこの計画は、税優遇措置と中古車下取り(トレードイン)制度を組み合わせた二段構えの普及策で、EVへの乗り換えを財政的に後押しする内容だ。
具体的には、ガソリン車・ディーゼル車をEVに乗り換える際の買い替え補助金(トレードイン補助)と、EV購入時の消費税・物品税の軽減措置が柱となる。さらにタイ投資委員会(BOI)との連携により、EV製造・充電インフラ設置に対する投資優遇も拡充される見通しだ。
背景にあるのは、原油価格の高止まりとガソリン代負担への国民の不満だ。中東情勢の緊迫化で燃料費が上昇する中、電気代の方が安価という認識が急速に広まっており、EVへの潜在的需要は高い。タイのEV販売台数は2025年に12万台超と前年比80%増を記録しており、今年はさらなる伸びが見込まれる。
現在タイ市場のEV販売は中国系ブランド(BYD・SAIC・Chery等)が約7割のシェアを握っているが、政府の普及計画と国産・日系メーカーの追い上げで競争環境の変化も予想される。充電インフラの全国展開が普及加速の鍵であり、地方都市や高速道路沿いへの充電ステーション整備が急務となっている。
国際エネルギー機関(IEA)は「タイのEV普及ペースはアジア新興国の中でも上位に入りつつある」と評価しており、2030年代のEV先進国入りへの道筋は着実に敷かれつつある。