タイ中央銀行(BOT)の金融政策委員会(MPC)は2026年4月29日、政策金利(1日物レポレート)を1.0%に全会一致で据え置くことを決定した。この水準は2022年後半以来の最低水準で、金利据え置きはBloombergが事前調査した経済学者全24人が予測していた通りの結果だ。
BOTが今回の据え置きの主な理由として挙げたのは、中東紛争による石油価格高騰のリスクだ。2026年に入り、ホルムズ海峡の緊張が続く中、原油価格は1バレル200ドルを超える局面もあり、世界的なインフレ圧力が再燃している。BOTは「追加的な利下げを行うよりも、現状の金利水準を維持して経済を下支えする方が適切と判断した」と説明した。
同時にBOTは2026年の経済成長率予測を従来の1.8%から1.5%に引き下げた。2027年の予測も2.3%から2.0%に下方修正している。米国の対タイ関税圧力、強含む通貨バーツ、観光客数の低迷——これら複数の逆風が成長の足を引っ張っているとの分析だ。成長率1.5%が実現すれば、コロナ禍を除く過去30年間で最低水準となる。
金融市場の反応は限定的で、発表直後のバーツはほぼ横ばいで推移した。一部のエコノミストは「成長率1.5%では雇用創出と生活水準の向上が不十分だ。次回6月の会合では利下げに踏み切るべきではないか」と主張している。政策の方向性をめぐる議論は、タイの政治経済状況の行方と絡み合いながら続きそうだ。