アヌティン首相は4月9日、下院での施政方針演説において、タイ経済を次のステージへと引き上げるための「国家構造改革」を断行する決意を表明した。首相は、タイが長年直面している「中所得国のわな」(経済成長が一定水準で停滞する現象)から脱却するためには、従来の労働集約型産業から、高付加価値なデジタル・グリーン経済への完全移行が不可欠であると強調した。

具体策としては、次世代自動車(EV)、バイオテクノロジー、航空・宇宙といったSカーブ産業への投資恩典(BOI優遇措置)のさらなる拡充を掲げている。
また、タイ南部を横断する「ランドブリッジ・プロジェクト」(チュムポーン県〜ラノーン県間を道路・鉄道で結ぶ構想)の推進により、マラッカ海峡を迂回する新たな物流ルートを確立し、東南アジアのハブとしての地位を強固にする方針だ。
この改革には、高度なスキルを持つ労働力の育成がセットとなる。日系企業にとっても、現地のマネジメント層やエンジニアの質的向上が求められる時代となり、東部経済回廊(EEC)や主要地方都市周辺での産学連携による人材育成支援などが今後の鍵を握ることになりそうだ。