野党44人に終身追放の鉄槌か!タイ最高裁、不敬罪改正案をめぐる裁判を受理

タイの政界に、またもや「民主主義の危機」が叫ばれている。

タイ最高裁の政治職保有者向け刑事部門は4月24日、国家汚職防止委員会(NACC)が起訴した野党議員ら44人に対する裁判の受理を正式に決定した。問題となっているのは、2023年に解散させられた革新政党「前進党(Move Forward)」の後継組織「国民党(People’s Party)」のメンバーが、刑法第112条(不敬罪)の改正を求める法案を国会に提出した行為だ。最高裁はこれを「国王を元首とする民主主義体制を守り維持する義務の違反」として倫理違反に問えると判断し、裁判は2026年6月30日から始まることになった。

有罪なら「終身政治追放+10年間の選挙権剥奪」

この裁判の最も衝撃的な点は、その量刑の重さだ。有罪となった場合、被告全員が「終身にわたる政治活動禁止」と「10年間の選挙権剥奪」というダブルパンチを食らう可能性がある。44人の中には国民党代表のナッタポン・ルアンパンヤワットや副代表のシリカーニャ・タンサクルといった現役国会議員10名が含まれており、もし全員が追放されれば、野党勢力は壊滅的な打撃を受けかねない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが猛烈批判

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は声明を発表し、「この訴追はタイが批准した市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)が保障する表現の自由・結社の自由・民主的参加の権利を著しく侵害するものだ」と猛烈に批判した。同団体によれば、「不敬罪の改正を主張することは政治的表現の範囲内であり、それを刑事訴追の対象とすること自体が問題だ」という。タイSNS上では「またやった」「政権維持のための政治的弾圧だ」という怒りのコメントが相次ぎ、ハッシュタグ「#SavePeoplesParty」がトレンド入り。一方で「法の下の平等を守れ」という現政権擁護の声も飛び交い、タイ社会は真っ二つに割れている状態だ。

タイ民主主義の岐路

前進党が2023年の総選挙で第一党となりながらも政権を奪取できず、その後解散に追い込まれた経緯を振り返れば、今回の裁判受理は「既存体制が改革勢力を繰り返し排除する構造」を如実に示しているといえる。国民党は「影の内閣」の設置や2026年の総選挙へ向けた準備を続けているが、その歩みを阻もうとする力もまた強い。タイの「民主主義の形」をめぐる闘いは、法廷という舞台でも続いている。

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