タイとカンボジア、詐欺センター壊滅で連携強化 カンボジアで250か所以上を摘発

カンボジア政府は4月26日時点で、国内の詐欺センター250か所以上を摘発し、91のカジノを閉鎖したと発表した。中国政府からの強い要請を受けた同国の取り締まり強化に加え、タイも国境を跨ぐ犯罪ネットワークの追跡で連携を強めており、東南アジア全体でのサイバー犯罪・人身売買壊滅作戦が加速している。

「詐欺センター」——現代の強制労働施設

カンボジアやミャンマー、タイ国境地帯には、強制労働による「サイバー詐欺センター」と呼ばれる施設が多数存在することが近年明らかになっている。被害者の多くは「良い仕事がある」とだまされて連れてこられ、スマートフォンを使った恋愛詐欺(ロマンス詐欺)や投資詐欺を強制させられる。中国人・タイ人・ベトナム人など多国籍の被害者が出ており、国際社会での問題認識は急速に高まっている。今回カンボジアが摘発した250か所以上の施設では、複数の国籍の被害者が「人質的」状態で詐欺行為を強制させられていたとされており、特に中国人被害者が多かったことから中国政府が強硬に対応を求めていた背景がある。

タイは「通過・活動拠点」として調査対象に

タイ警察は、カンボジアやミャンマーを拠点とする詐欺組織がタイ国内の銀行口座・SIMカード・住居をマネーロンダリングや通信インフラとして利用しているという証拠を収集し、現在も追跡調査を継続している。タイの裁判所はすでにカンボジアのカジノオーナーに対して逮捕状を発行し、関連資産の差し押さえを行っている。また4月26日には、FBI協力のもとプーケットで逮捕されたインドネシア国籍の男(33)が、米国市民を主なターゲットにした「ロマンス詐欺」で約1000万ドルを騙し取ったとして米当局への身柄引き渡しが決まった。

「アジアから詐欺センターをなくす」という決意

タイ政府は「タイが詐欺組織の温床になることを絶対に許さない」との姿勢を強調しており、警察・AMLO(マネーロンダリング対策局)・DSI(特別捜査局)が連携した「越境犯罪撲滅チーム」の強化を進めている。ASEANレベルでも、カンボジア・ミャンマー・タイ・フィリピンなどが共同作戦を実施するための枠組み構築が進んでおり、2026年中に新たな多国間合意が締結される見通しだ。サイバー詐欺と人身売買が連動する「現代の強制労働」への国際的な戦いが、東南アジアを中心に本格的に始まっている。

タイトルとURLをコピーしました