タイ配車アプリの運転手が女子高生を「拉致」、暴走20分! 深夜の決死ジャンプ

配車アプリ「Bolt」の闇!なりすまし運転手が薬物飲料片手に凶行

「止めて!降ろして!」——。深夜のバンコクに響いた少女の悲鳴は、冷酷な加速音にかき消された。大手配車アプリ「Bolt(ボルト)」のバイクタクシーに乗車した女子学生(17)が目的地を無視して連れ去られ、走行中の車体から自ら飛び降りて脱出するという、映画さながらの戦慄の事件が発生した。タイ運輸省は29日、管理体制の杜撰(ずさん)さを猛烈に批判。90日以内の改善がなければ事業ライセンスを剥奪するという「レッドカード」を突きつけた。

目的地スルーの「地獄行き」

事件が起きたのは今月23日の未明。被害に遭った女子学生は、ラーマ2世エリアからバンボーン区の自宅へ帰るため、安価な料金で知られるBoltを利用した。現れたバイクの運転手は、アプリに登録された写真とは別人の若い男。タイの配車アプリ界隈では「写真と違う」ことは珍しくないが、これが地獄への入り口だった。

走り始めてすぐ、男は異常な行動に出る。頼んでもいないのに路上の商店に立ち寄ると、タイで麻薬指定が解除されたばかりの向精神作用がある植物「クラトム」の飲料を購入し、その場で煽り始めたのだ。不穏な空気を感じた女子学生が帰宅を急かすも、男はニヤつくばかり。目的地が近づいてもバイクはスピードを緩めず、彼女の叫びを無視して繁華街から離れた暗がりの路地へと暴走を始めた。

スマホ奪取の暴挙、そして決死のダイブ

「このままでは殺される——」。命の危険を察知した彼女は、証拠を残そうと背後からスマートフォンで男の様子を撮影し始めた。それに気づいた男は、片手運転のまま激しく身をよじり、彼女の手からスマホを叩き落とそうと威嚇。もはや「客」ではなく「獲物」として扱われていた。

絶体絶命の瞬間、彼女が選んだのは「死中に活」を求める強行突破だった。ペッチャカセム81通りの交差点付近で、バイクがわずかに減速した隙を突き、時速40キロ近くで走行する車体からアスファルトの上へダイブ。路上を数メートル転がりながらも、後続車のライトに助けを求めた。背後の車のドライブレコーダーには、少女が転げ落ちる衝撃的な瞬間と、救護もせずフルスロットルで逃走する男の姿が鮮明に記録されていた。

逮捕された「偽ドライバー」の呆れた弁明

その後、警察に逮捕されたのはティン容疑者(22)。驚くべきことに、彼は自身のライセンスを持たず、父親のBoltアカウントを「なりすまし」で使用していた。家宅捜索ではクラトム飲料と大麻が発見され、常用者であったことも判明。

にもかかわらず、警察の取り調べに対し男は「彼女が目的地を間違えただけだ」「追いかけてくる車が怖くて逃げただけ」と支離滅裂な供述を繰り返している。

巨大アプリに「退場勧告」の激震

この事態を重く見たタイ運輸省は、即座にBolt幹部を召喚。「登録者と運転手が違うという致命的なバグを放置した責任は重い」とし、90日以内にドライバーの全対面審査とバックグラウンドチェックを完了させるよう厳命した。

格安を武器にシェアを急拡大させてきたBoltだが、その裏側で「安全性」というブレーキが故障していた事実は否めない。バンコクの夜を揺るがした今回の「拉致暴走」。少女が負った体の傷はやがて癒えるだろうが、配車アプリという利便性に潜む「牙」が剥かれた衝撃は、市民の間に深いトラウマを刻み込んでいる。

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