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タイ南部プーケット沖合で長尾船沈没、クーラーボックスの蓋で5時間漂流し生還

頼りになったのは、赤いプラスチック製クーラーボックスの蓋一枚だけだった。タイ南部パンガー県ヤオヤイ島の住民パボップさんは9月2日、乗っていた長尾船が沈没し、プーケット島とピピ島の間に位置する「シャークポイント」海域で4〜5時間にわたって漂流した末、通りかかった観光船に救助された。

パボップさんはヤオヤイ島からハウラム岬方面へ向かうため長尾船に乗り込んだが、航行中に船が沈没。海に投げ出された同氏は、船に積んであった赤いクーラーボックスの蓋を咄嗟に掴み、これを浮き輪代わりにして海面に浮かび続けた。

近くを通った船も気づかず、絶望的な時間が続く

周辺海域は観光船やダイビング船が行き交うシャークポイントに近く、実際に複数の船が現場付近を通過したものの、いずれもパボップさんに気づかず通り過ぎていったという。声を上げても届かず、体力も次第に奪われていく中、「今度こそ助けてくれ」との思いだけで浮き続けた5時間近くだったとみられる。

最終的に発見・救助したのは、地元の「サワディー・トラベル」のツアーボートを操縦していた船長だった。海面に浮かぶ人影に気づき、急いで船を寄せて引き上げたという。パボップさんは自身のFacebookに「船が通りかかって、ちょうど助かった」と投稿し、九死に一生を得た安堵をつづった。

SNSでは「奇跡の生還」に驚きの声

この投稿はタイ国内で瞬く間に拡散し、「クーラーボックスの蓋で5時間も浮いていたなんて信じられない」「近くを船が通っても気づかれないなんて恐ろしい」「日頃からライフジャケットを積んでおくべきだ」といった趣旨のコメントが相次いだ。プーケット近海は日本人観光客にも人気のダイビングスポットが点在する海域だけに、船の安全管理や救命具の常備を求める声が改めて強まっている。

地元の海上保安当局は、今回のような小型船の遭難に備え、救命胴衣の携行を徹底するよう周知を強化する方針を示している。パボップさんに大きなけがはなかったとみられ、まさに紙一重の生還劇となった。

観光客も行き交う海域、ダイビング関係者も驚き

シャークポイント周辺は日本人を含む外国人ダイバーにも人気のダイビングスポットとして知られ、日常的に観光船やダイビング船が行き交う海域だ。それだけに、複数の船が現場を通過しながら漂流者に気づかなかったという事実に、地元のダイビングガイドからも「見張りの徹底を改めて考えさせられる」との声が上がっている。長尾船は構造上、荒天時や積載オーバーの際に転覆・沈没しやすいとされ、今回の事故を機に船の点検体制の強化を求める声も出ている。

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