
深夜の工場で突然の火災——被害を受けたのはEV充電中のトラックだった。
5月11日午前2時10分、バンコク近郊サムットプラカーン県バーンサートーン地区の企業内にあるEV(電気自動車)充電ステーションで火災が発生し、充電中の小型電動トラック1台が損傷した。バーンサートーン警察署が消防と共に現場へ急行し、火は比較的早期に鎮火。幸いにも人的被害は報告されなかった。
詳細な出火原因はまだ調査中だが、充電装置(チャージャー)側の問題か、バッテリー側の問題かを確認するため、消防当局と電気の専門家が合同で調査を行っている。現場を確認した担当者によると「トラックの充電中に充電設備から出火した可能性がある」という。
タイのEV普及と「充電中火災」リスクの増大
タイでは近年、中国メーカーを中心に電気自動車の普及が急加速しており、充電インフラの整備も急ピッチで進んでいる。
一方で、急速充電器の過負荷や品質の低い充電設備による事故リスクも高まっているという専門家の指摘がある。特に深夜の無人充電(overnight charging)は、火災発生時の初期対応が遅れる危険性がある。タイエネルギー省とEV推進機構(EVAT)は「充電設備の安全基準を満たした認証機器の使用」を呼びかけているが、工場や民間施設での非認証設備の使用は依然として多いとされる。
「EVは怖い」という印象論を越えて
このニュースがSNSで拡散されると、「やっぱりEVは危ない」という声が相次いだただし専門家は「ガソリン車も充電システム関連の火災は多い。EVだから特別に危険というわけではない。重要なのは認証設備の使用と適切な管理だ」と冷静に指摘する。
タイ政府は2030年までにEV普及率を新車販売の30%に設定する目標を掲げており、今回のような事故を受けた安全対策の強化が課題となっている。充電ステーションの設置・運用に関する法令整備の遅れを指摘する声もあり、今後の規制議論が注目される。
EVは未来の乗り物——しかしその未来を安全に迎えるためには、インフラ整備と安全対策の両輪が必要だ。深夜に燃えたトラックが、そのことを静かに教えてくれている。