燃料コストの高騰を背景に、タイの物流・運送業界で商用電気自動車(EV)への切り替えが急速に進んでいる。トラック、バン、ピックアップなどの商用車分野は、これまでEV普及の死角とされてきたが、2026年は転換点を迎えつつある。中国メーカーが商用EV市場にも照準を合わせており、新たな競争が始まっている。

なぜ商用車にEVシフトが
商用車は乗用車に比べて走行距離が長く、燃料費が事業コストに直結する。1リットル45〜50バーツ台のガソリン価格が続く中、大手物流会社や中小運送業者は「EV転換によってコストを抑制できる」という経済合理性に基づく判断を下しつつある。バンコク都市圏を拠点とする宅配・ラストマイル物流事業者の間では、電動バイクや電動軽バンへの切り替えが急増しているという。
中国メーカーが商用EV市場に参入
中国の自動車メーカーはタイの乗用車EV市場を席巻した次の標的として、商用車市場に照準を合わせている。SAIC(上海汽車)傘下のMGはEV商用バンのタイ展開を加速しており、Foton(福田汽車)やYutong(宇通)などのバスメーカーも地方自治体や旅行会社への電動バス納入を進めている。BYDも商用EV分野での大手物流会社との提携を模索しているとされる。
インフラ整備が普及の鍵
商用EVの普及に向けた最大の課題は充電インフラの整備だ。長距離ルートをカバーする急速充電ステーションの拡充がなければ、物流事業者の本格的なEV転換は難しい。タイ政府はEV充電インフラへの投資を促す規制・補助の枠組みを整備しており、2026年末までに全国の主要幹線道路沿いに充電拠点を大幅に増設する計画だ。業界関係者は「商用EV市場はこれから2〜3年で爆発的に成長する可能性を秘めている」と見通しを述べている。