まるで映画のような光景が、タイ東部で現実となった。チョンブリー県フアイヤイで、豪華プールヴィラの中に「ゾンビ薬」と呼ばれる危険な薬物の製造工場が発見されたのだ!
当局が踏み込んだのは、一見すると高級リゾートを思わせる豪邸。しかし内部では、2人の中国人が80種類以上の化学物質を使い、違法薬物を製造していた。逮捕された2人の中国籍男性は製造現場での取り押さえとなり、言い訳の余地すらなかった。
「ゾンビ薬」とは何か?その危険な実態
「ยาซอมบี้(ゾンビ薬)」とは、ザイラジン(xylazine)などの鎮静剤に合成麻薬を混合した危険な薬物だ。使用者が「ゾンビのような状態」になることからその名がついた。アメリカでもフェンタニルとの混合物として深刻な社会問題となっているが、タイでも急速に流通しつつある。
現地メディアによると、製造規模は相当なもの。押収された化学物質は80種類以上にのぼり、専用の製造設備まで設置されていた。プールヴィラという高級な外観の裏に、タイ社会を蝕む「闇の工場」が潜んでいたわけだ。
タイに増殖する中国人犯罪ネットワーク
今回の逮捕は、タイで相次ぐ中国人関与の犯罪事件の一つだ。近年、タイ国内では中国人を中心とした詐欺グループや違法薬物製造グループの摘発が続いている。プールヴィラという「目立たない高級住宅」を拠点にすることも、こうした犯罪者たちの常套手段となっている。
SNSでは「なぜ外国人がタイで製造拠点を構えられるのか」「ビザの管理が甘すぎる」といった批判が殺到。「プールヴィラの住人を信用するな」という皮肉めいた書き込みも拡散した。
タイ当局は今後、押収した化学物質の分析と、製造・流通ルートの解明を進める。捜査関係者によると「国境を越えた密輸ネットワークとの関連」も視野に入れているという。
タイ全土に流通か
チョンブリー県はバンコクから近く、パタヤを擁する観光地でもある。もしこの「ゾンビ薬」が観光地で流通していたとすれば、その影響は外国人旅行者にも及びかねない。タイ観光局も今後の対応を迫られることになりそうだ。
プールヴィラで高級な日々を送りながら、その裏でタイ社会を破壊する薬物を製造していた2人。「楽園の悪用」もここまで来たか、と言うほかない。