怒りが爆発した。5月1日未明、パトゥムタニ県タマサート大学ランシットキャンパス近くの道路で、BMW(白色)を運転していた22歳の学生プーミン容疑者が、前方を走っていたバイクに追突。乗っていた27歳の宅配員アロンコーンさんが死亡した。
アルコール検査では血中アルコール濃度93mg%。タイの法定上限(50mg%)をはるかに超えていた。
「うちの車も壊れた!」——同乗者の発言がSNSを激震させる
この事件が単なる飲酒運転死亡事故では終わらなかった理由がある。現場の混乱の中で、BMWに同乗していた別の学生が口にした一言だ。「うちの車も壊れたのに、なんでそんなに怒鳴るんですか」——。
この発言が目撃者によって拡散されると、タイのSNSは一気に沸騰した。「SIIT学生が飲酒運転」というハッシュタグが瞬く間にトレンド入り。「車が壊れた? 人が死んでるのに!」「金持ちはこれだから」という批判コメントが殺到した。
プーミン容疑者が在籍するSIIT(タマサート大学国際工学部)の学生であることも判明し、大学側のコメントを求める声も上がった。
27歳の配達員は一家の大黒柱だった
被害者のアロンコーンさんは、高齢の両親と幼い子どもを養う家庭の大黒柱だった。「笑顔が素敵で、毎日一生懸命配達していた」と同僚は涙ながらに語る。深夜まで働いていたのは、家族のためだった。
事故現場を通りかかった友人のバイクとペアで走行していたアロンコーンさんは、後方から来たBMWに追い抜かれる形でぶつけられた。一瞬の出来事だった。
タイのデリバリー業界では、深夜や早朝の交通事故によるバイク宅配員の死亡が後を絶たない。「何も悪いことをしていない配達員が、富裕層の若者の飲酒運転の犠牲になった」という構図が、多くの市民の怒りに火をつけた。
プーミン容疑者は逮捕・起訴へ
プーミン容疑者は飲酒運転致死の容疑で逮捕された。被告側の弁護士はすでに動き始めており、示談交渉の可能性も報じられているが、被害者家族は「お金では解決できない」と語っている。
「自業自得」という言葉が、今ほど重く響くときはない。若き大学生の一夜の過ちが、一つの家族の未来を永遠に変えてしまった。SNSの怒りが、せめて何かを変えるきっかけになることを願うばかりだ。