タイのエネルギー市場で起きている「消えた石油」事件が、国家を揺るがすスキャンダルに発展している。
記録によれば、製油所を出発した石油が217億リットル。しかし貯蔵施設に到着した量は160億リットル。差し引き57億リットルの石油が「どこかに消えた」。
中東紛争による油価高騰の局面で、この石油が隣国などに密輸されて差益が稼がれたとすれば、利益は500億バーツ(約2100億円)を超えるとの試算もある。
DSIが特別捜査に格上げ——通信傍受も可能に
4月9日、タイ特別捜査局(DSI)の特別事件委員会は本件を「特別捜査案件」に正式指定した。この格付けにより、裁判所の承認を得た上での通信傍受や金融フロー追跡が可能になった。
DSIのほか、タイ王立警察、海上取締合同司令部(Thai-MECC)、海事局、税関、アンチマネーロンダリングオフィス(AMLO)の合計6機関が合同捜査チームを編成している。
捜査当局はすでに3つの疑惑のある漏洩ルートを特定したとされ、2〜4月の間に33万5000リットル超の違法燃料などを押収したと発表している。タイの日常的な燃料消費量は通常の6700万リットル/日から約9000万リットル/日に跳ね上がっており、これが密輸業者に莫大な利益機会を与えているとみられる。