バンコク近郊の高速でリチウムバッテリー積載トラックが大炎上、コンクリートが剥落し道路損傷 運転手は逃走

「ドカーン!」という爆発音が続いた。5月3日夜7時30分頃、チャチェンサオ県バンパコン郡の幹線道路バンナー・トラート道路の高架部分で、白色の10輪トラックから炎が上がった。

搭載物はリチウムイオンバッテリー。近年のEV普及に伴い輸送量が増えているが、火災への対処は通常の荷物とはまったく異なる「難敵」だ。

泡を吹きかけても燃え続ける「熱暴走」の恐怖

現場に駆けつけた消防隊員が直面したのは、想像を超えた炎だった。消火剤を噴射しても、リチウムバッテリーの「熱暴走(サーマルランアウェイ)」現象が止まらない。化学反応が内部で続き、一度鎮火したように見えても再び炎が上がる。消防隊員は何度も消火と再燃のサイクルを繰り返した。

その間、高架道路のコンクリートは高熱にさらされ続け、一部が剥落。ブーラパウィティ高速道路の構造体にダメージを与えた。翌5月4日には高速道路の技術チームが構造安全を確認し、通行が再開されたが、損傷したコンクリートの修復は今後の課題となっている。

運転手「自分はバッテリーを積んでいると知らなかった」

炎上した車両を運転していたノーパラット容疑者は、事故後に車から脱出し、奇跡的に無傷だった。しかし彼が語ったのは驚きの言葉だ。「チャチェンサオ県プレンヤオ郡からサムットサコン県まで運ぶよう頼まれただけで、荷物がリチウムバッテリーとは知らなかった」。

警察はこの証言を精査するとともに、荷物を依頼した会社への立ち入り調査も実施。チャチュンサオ県警は運転手と依頼会社の両方を法的に追及する方針を示している。

タイのSNSでは「リチウム電池って普通のトラックで運んでいいの?」「なぜ運転手が知らないの?」と疑問の声が続出。専門家は「危険物輸送には特別な許可と表示が必要」と指摘しており、安全基準の徹底を求める声が高まっている。

それにしても、荷物の中身を知らずに走らされる運転手というのも気の毒な話だ。次は「知らなかった」では済まない事態が起きないよう、業界全体での意識改革が急務だろう。

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