ミャンマー国境詐欺拠点に10万人超が拘束 タイ中が合同摘発作戦

ミャンマー国境地帯に林立するオンライン詐欺(スキャム)拠点に、現時点で10万人以上が「強制労働」状態に置かれていることが、タイ・中国・ミャンマー三カ国の合同調査で明らかになった。被害者の国籍は日本・韓国・中国・台湾・インド・アフリカ諸国など30か国以上にわたり、国際社会が緊急の人道支援を求めている。

スキャム拠点の実態

ミャンマー・カレン州のミャワディ周辺は「スキャムシティ」とも呼ばれ、武装勢力が支配する特区内に数十か所の詐欺拠点が集中している。建物は表面上はオフィスビルや工場だが、内部では数百〜数千人の「労働者」がロマンス詐欺・仮想通貨詐欺・投資詐欺に従事させられている。

被害者の多くはSNSや求人サイトで「高収入のカスタマーサービス職」などと誘われ、タイ経由でミャンマーに連れ込まれるパターンが典型的だ。到着後にパスポートを没収され、詐欺業務のノルマを課される。ノルマ未達の場合は暴行・電気ショック・食事抜きといった拷問も報告されており、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はこれを「現代の奴隷制」と断罪している。

タイ・中国の合同摘発作戦

タイ当局は2026年1月から「オペレーション・タイガーブリッジ」を展開し、ミャワディへの物資・人材の供給ルートとなっているタイ側の協力者ネットワークを摘発してきた。3月までに逮捕者は450人超、押収資産は総額32億バーツ以上に達した。

中国政府も自国民被害者の多さを受けて外交的圧力を強化。ミャンマー軍政に対してスキャム拠点の強制閉鎖を求め、中国人民解放軍の特殊部隊が「救出作戦」を実施したとの情報もある。2026年3月には中国人被害者約2,000人がタイ経由で中国に送還された。

日本人被害者も多数

外務省の発表によると、日本国内で確認されているだけでも150人以上の日本人がミャンマー・東南アジアのスキャム拠点に拘束されている疑いがあり、実態はさらに多いとみられる。「タイでのリゾートバイト」「バンコクでのIT系高給職」といったSNS広告に応募して現地に渡り、そのまま連行されるケースが相次いでいる。

日本政府はタイ・ミャンマー両政府に対して救出協力を要請しており、在タイ日本大使館が24時間対応の相談窓口を設けている。厚生労働省も渡航前の求人情報確認を強く呼びかけており、海外求人の際には「高給すぎる」「交通費・宿泊費全額負担」「ビザ取得を代行する」といった条件が揃う場合は人身売買の可能性があるとして警戒を促している。

日本語マニュアルの存在

先日公開されたカンボジア国境のスキャム拠点から押収された資料には、日本語で書かれた「詐欺マニュアル」が含まれていた。「被害者の心理を把握する方法」「信頼を獲得する会話スクリプト」が詳細に記されており、日本人をターゲットとした詐欺が組織的に行われていることが裏付けられた。タイ警察は関連するネットワークの壊滅を最優先課題として掲げており、国際刑事警察機構(INTERPOL)とも情報共有を強化している。

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