8月のタイ株式市場で、投資家が見ているのは国内のニュースではない。米連邦準備制度理事会(FRB)の判断、米国のインフレ指標、そして上場企業の決算発表——この3つが、今月の相場を動かす主役になると各社が指摘している。
直近の取引では、タイ株は小幅安で終えた。指数は1.74ポイント下落し、外国人投資家は16億バーツの売り越し。TRUE、DELTA、ADVANCといった大型株への売りが、相場全体の重しになった格好だ。
なぜ米国の金利がタイ株を動かすのか
タイ株の売買では外国人投資家の存在感が大きい。米国の金利が下がるとの見方が強まれば、ドル資産の妙味が薄れ、より高い利回りを求める資金が新興国市場へ向かう。運用各社が「新興国への資金流入」に期待をかけているのは、この経路である。
逆に、インフレ指標が高止まりして利下げ観測が後退すれば、資金は米国にとどまる。8月の複数の経済指標発表日が、そのまま相場の分岐点になる。
決算シーズンという国内材料
もうひとつが上場企業の決算だ。第2四半期のタイ経済は、中東情勢と燃料価格の高止まりで観光が打撃を受け、成長が鈍化した。この環境下で企業がどこまで利益を確保できたかが、個別銘柄の選別につながる。
燃料コストの影響を受けやすい運輸・航空関連と、内需に支えられる銘柄とで、明暗が分かれる可能性がある。
「韓国の二の舞にはならない」
市場では、タイ株が急落局面で強制決済(フォースセル)の連鎖に陥るのではないか、という懸念も語られてきた。これに対し、証券業界からは「タイのレバレッジ比率と信用取引残高は高くなく、韓国で起きたような連鎖的な投げ売りが起きるリスクは低い」との見方が示されている。
相場が下げても、借金で買っている投資家が少なければ、下げが下げを呼ぶ展開にはなりにくい。地味だが、投資家にとっては重要な安心材料である。
個別の材料も並ぶ
8月は個別材料も少なくない。通信大手TRUEでは、大株主のチャイナモバイルが保有株の売却を検討していると報じられており、株主構成の変化が意識されている。エネルギー分野では、BANPUとBPPの合併が完了し、新会社の株式取引が8月4日から始まった。
外を見ながら中を選ぶ——8月のタイ株は、投資家にそういう二正面作戦を求めている。楽な月ではなさそうだ。