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タイ中銀副総裁、2.7%成長の壁は「投資」で破れると提言、目標は3〜4%成長

タイ中央銀行(BOT)のドン・ナコルトープ副総裁が、タイ経済の低成長構造について踏み込んだ見解を示した。同国の潜在成長率はこの10年で3.5%から2.7%まで低下しており、ドン副総裁は「2.7%は先進国並みの水準であり、発展途上国であるタイとしては物足りない」と指摘。3〜4%の成長率達成を目指すべきだと訴えた。

ドン副総裁によれば、タイ経済は現在、二重の課題に直面している。ひとつは実際の経済成長率が潜在成長率そのものを下回っていること、もうひとつは潜在成長率自体が低下し続けていることだ。新型コロナウイルスの流行、米国の対中貿易規制、世界的なエネルギー危機といった外的ショックが2〜3年にわたって連続したことが、この停滞の主因とされる。回復期に入るたびに新たな衝撃が加わり、経済が持続的に適応する機会を奪われてきたという分析だ。

こうした状況を打開する鍵として、ドン副総裁が繰り返し強調したのが「投資」である。労働力人口の減少が進むタイにおいては、設備投資や技術投資によって少ない労働力でより多くの生産を実現する必要があると説明。生産性の向上こそが、低成長の罠から抜け出すための本質的な処方箋だとの立場を示した。

BOTとしては、金融政策の安定維持を大前提としつつ、有望な中小企業(SME)の資金アクセス改善を通じて投資を後押しする方針を掲げる。低金利政策についても、単なる景気下支えにとどまらず、新しい経済構造への円滑な移行を促す狙いがあるとした。バンコクの金融街では、来年度の政策金利動向とあわせて、政府の投資促進策がどこまで具体化するかが焦点になりそうだ。

タイ経済をめぐっては、労働力人口の減少という構造的な課題に加え、周辺国との製造業誘致競争も激しさを増している。ベトナムやインドネシアが積極的な外資誘致策を打ち出すなか、タイが投資先としての魅力をどう維持するかも問われている。ドン副総裁の発言は、金融政策だけに頼らない構造改革の必要性を、中央銀行の立場から異例に強く訴えたものといえる。今後、政府が打ち出す予算編成や投資優遇税制の内容が、この提言にどこまで応えられるかが注目される。

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