
日本車の底力を見せつける快進撃だ。ホンダのタイ法人ホンダ・オートモービル・タイランドは、新型「シティ ハッチバック」のハイブリッド最上級グレード「e:HEV RS」の一部仕様について、注文の受け付けを一時停止した。人気のツートーンカラー「アーバングレー・パール×ブラックルーフ」に注文が殺到し、納車まで3カ月以上待ちの状態になったためだ。タイ経済紙プラチャーチャート・トゥラキットが報じた。
タイの自動車市場は、家計債務の高止まりによる自動車ローン審査の厳格化で長い低迷が続いてきた。そのなかで特定グレードの受注停止に追い込まれるほどの人気は異例であり、市場関係者を驚かせている。
好調の要因は、ハイブリッド車(HEV)への追い風だ。タイでは電気自動車(EV)の普及が進む一方、充電インフラへの不安や中古車価値の変動を嫌う消費者の間で、「給油だけで走れて燃費が良い」HEVの人気が再評価されている。シティ ハッチバックe:HEV RSは、コンパクトな車体にスポーティーな内外装と低燃費を両立させ、若年層や都市部のファミリー層の心をつかんだ。
ホンダはタイで乗用車生産の長い歴史を持ち、シティシリーズはその屋台骨を支える戦略車種だ。今回の受注殺到は、中国EVメーカーの攻勢で苦戦が伝えられる日系ブランドにとって、商品力次第で十分に戦えることを示す好例と言える。
同社は併せて、中古車事業のブランド刷新にも着手しており、新車から中古車まで一貫して顧客を囲い込む体制づくりを急いでいる。生産枠の調整により受注再開の時期は未定だが、人気色以外の仕様は引き続き注文可能だという。
EV一辺倒と思われたタイ市場で、日本のハイブリッド技術が改めて存在感を示した形だ。ホンダの快走が日系他社の追い風となるか、下期の販売動向が注目される。