中東紛争に端を発したタイの燃料危機が、「政界スキャンダル」という新たな局面に突入した。人民党のナッタポン党首は国会の生中継の場で、アヌティン首相に対し、石油密輸業者「シア・トゥー」との政治的関係について直接説明を求めた。シア・トゥーとは、アントン県の石油貯蔵施設で約33万リットルの石油を買い占め・値上がりを狙って転売しようとしたとされる石油トレーダーの通称だ。
政治献金と1億バーツの融資——浮かび上がる癒着構造
野党が問題にしているのは、シア・トゥーの企業がかつての運輸大臣・ピパット副首相と1億バーツ超の融資契約を結んでいたこと、さらにトレーダーの家族が連立与党に政治献金をしていたとされる点だ。
アヌティン首相はこれを受けて4月2日にピパット副首相を交代させ、財務大臣のエクニティ・ニティタンプラパス氏(テクノクラート)を後任に起用した。首相は「石油密輸組織への影響力行使は断じて許さない」とし、DSIに特別捜査案件として立件するよう指示済みだと説明している。タイのSNSでは「与党と石油マフィアの癒着こそがこの危機の根本原因」という批判と「アヌティンは迅速に対処した」という擁護の声が真っ二つに割れている。