タイ政府は近年の人身売買対策強化の成果を国際的に示し、米国務省の「人身売買報告書(TIP Report)」でTier 2から「Tier 1(最高評価)」への昇格を達成することを政策目標として明確に掲げた。政府は摘発強化・資産凍結・国際連携という三つの柱で実績を積み上げており、6月には警察主導の国際情報共有システム「SHIELD」を稼働させる。
実績の積み上げ——1万人以上を解放
タイ当局によれば、2024〜2026年にかけて実施された一連の作戦で、タイ・カンボジア国境のスキャムセンターから1万人超の被害者を解放。摘発・凍結した資産額は200億バーツを超える。
首謀格として挙げられた「ベン・スミス」および「イム・リアック」関連の犯罪組織は解体済みで、現在も余罪の追及が続いている。TIP Reportの審査基準であるTier 1には「政府自身が人身売買問題に積極的に取り組み、立法・捜査・被害者支援の各面で高い基準を維持している」ことが求められる。タイはこれまで連続4年Tier 2にとどまっており、今年の昇格に向けて政府内に専任の作業部会が設置された。
「SHIELD」で犯罪者の逃げ場をなくす
6月稼働予定の「SHIELD」システムは、タイ警察が中心となって構築した国際データ連携基盤で、参加10カ国以上が詐欺犯の個人情報・口座・通信記録を共有できるプラットフォームだ。
既存の二国間MLA(司法共助条約)では時間がかかっていた情報交換をリアルタイム化し、犯罪者が国境をまたいで逃げるパターンを事前に察知することが可能になるという。タイの対外的な評価向上は、投資家・観光客の信頼獲得にも直結する。