逃げに逃げて、帰ってきたらそこに警察が待っていた。
5月23日、カンボジアの国境都市ポイペトの詐欺施設から脱出したタイ人8人(男女含む)が、タイ側の国境を越えた直後に当局によって逮捕された。8人は「施設から命からがら逃げてきた」と主張しているが、当局は詐欺組織への関与の度合いを調べている。
「被害者」か「加害者」か——その判断が最も難しい
捜査関係者によると、8人の中には明らかに被害者として強制労働をさせられていた者もいる一方、自らの意思でポイペトに渡り、詐欺業務を行っていた者も含まれている可能性があるという。こうした「グレーゾーン」の人物の扱いは、タイの法律上でも非常に難しい問題をはらんでいる。
カンボジア・ポイペトの詐欺施設問題は、タイを含む東南アジア各国で深刻化している。「高収入の仕事」を餌に外国人を呼び込み、実際にはスマートフォンやパソコンを使った詐欺業務を強制させる施設は、カンボジア、ミャンマー、ラオスなどに無数に存在するとされる。
日本人被害者も後を絶たない
この問題は日本と無縁ではない。日本人が「英語を使ったビジネスの仕事」などに誘われてポイペトやその周辺に渡り、逃げられない状況に置かれるケースが続いている。外務省も危険情報を出しており、安易な海外就職には最大限の注意が必要だ。
Facebookには「ポイペトから帰ってきてすぐに捕まるなんて…」「施設の中で何をやらされていたのか」「被害者なら助けてあげてほしい」などのコメントが相次いだ。一方で「そもそもなぜ怪しい仕事に応募したのか」と厳しい意見も多い。
「人身売買の被害者」と「詐欺の共犯者」——その境界線は実のところ非常に曖昧だ。今回の8人が最終的にどう分類されるかは、今後の捜査次第だが、「カンボジアの闇」はこれからも続くだろう。まことに遺憾なことである。