
600万バーツを超える白い高級EVが、運河にゆっくりと沈んでいった。ブレーキのかけ忘れが招いた、まさかの水没劇だ。
現場はサムットプラーカーン県バンプリー郡バンプラー地区、スワンナプーム運河沿いの自動車部品店前。9月5日午後4時21分ごろに起きた。
車は駐車していたはずの高級EVだった。所有者の性別や年齢は詳細不明だが、直前まで運転していたのは母親だったと家族が説明している。夕方の営業時間帯で、店の前には人の出入りもあった。
サイドブレーキのつもりが数十秒で運河へ
息子の説明によれば、母親はエンジンを切る前にギアをPに入れ、サイドブレーキをかけたつもりでいた。ところが「母がまだエンジンを切らないうちにPに入れ、サイドブレーキをかけたつもりだったが、1分足らずで道を横切って流れた」という。
車はわずかな坂を滑り出し、あっという間に道路を横切った。そのまま深さ約5メートルの運河へ転落した。数十秒という短い時間の出来事だった。
居合わせた目撃者からは「音に気づいて振り返ったら、もう車が水の中だった」といった趣旨の証言があった。あまりの速さに、誰も止める間がなかったという。店の従業員も慌てて外に飛び出したとされる。
引き上げに2時間、渋滞も発生
駆けつけた救助隊はクレーンを手配し、水没した車体の引き上げに取りかかった。作業は難航し、完了までに約2時間を要した。運河の水深は約5メートルあり、車体はほぼ完全に沈んだ状態だった。
現場の道路は片側が規制され、長い渋滞が発生した。警察関係者からは「安全確認を優先せざるを得なかった」といった趣旨の説明があった。周辺の店舗にも一時、影響が出たという。渋滞は夕方の帰宅時間帯と重なり、迂回する車列が長く続いた。
この一件は地元紙タイラットのトップニュース欄にも「高級車が運河に転落」として取り上げられた。SNS上では「600万バーツが一瞬で水没とは」「サイドブレーキは確認が命」「引き上げ費用の方が心配になる」といった趣旨の書き込みが並んだ。中には自身の駐車習慣を振り返る投稿も見られたという。
高級車もサイドブレーキの重み一つで、運河の底に沈む。値段はブレーキの信頼性まで保証してくれない。