タイのデジタル・AI産業が急速に拡大している。SCBXの調査によれば、タイの消費者のAI認知率は90%超、実際に利用している割合も80%を超えた。政府はAIとデジタル技術をタイの産業変革の主軸と位置付け、AI関連投資の誘致で「1兆バーツ産業」の形成を目指す方針を明確にしている。
タイ版「AI法」が整備へ
タイ政府はAI技術の普及を後押しするため、国家AI規制の整備を進めている。現在、「2022年AI事業運営に関する王令案」と「2023年国家AI革新促進法案」という二つの法案が審議中であり、国際水準のAIガバナンスの構築を目指している。
法律事務所の分析では「タイのAI法整備は東南アジアの中でも先駆的な動きであり、外資系テクノロジー企業にとって法的安定性の面でのプラス材料となる」と評価されている。
また、デジタル経済振興局(DEPA)は「コーディング・タイランド」プログラムを通じて全国50万人以上のデジタル人材育成を推進。データサイエンス・AIを専攻したブートキャンプ修了者の就職率は85%を超えており、IT人材の供給拡大にも一定の成果が出ている。
スマホ市場ではAppleがシェア首位
タイのスマートフォン市場では2026年初頭のデータでAppleが約31.5%のシェアを握りトップに立ち、サムスン(21.7%)、OPPO(17.4%)と続く。AI機能を前面に押し出したiPhoneの最新シリーズが、消費者の購買意欲を刺激したとの見方がある。
ASEANの主要デジタルハブを目指すタイにとって、AI・データセンターへの大型投資の呼び込みと国内人材育成の両輪を回すことが今後の最大の課題となる。政府は「2030年までにタイをASEANのAI中枢にする」という目標を掲げ、関連施策を加速させている。