日本銀行(日銀)は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの0.75%から1.00%へと引き上げることを決定した。1%の政策金利は約30年ぶりの水準となり、日銀のデフレ脱却・正常化路線が着実に進んでいることを示すものとして、国際的に大きな注目を集めている。
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的な利上げを進めてきた。2025年1月に0.5%、2025年7月に0.75%と引き上げ、今回の1%でいよいよ「実質的なゼロ金利時代の完全終焉」と言われる水準に到達した。植田総裁は「賃金と物価の好循環が確認されており、引き続き経済・物価の動向を見極めながら段階的な正常化を進める」と述べた。
タイへの影響①:円高でタイ人訪日コスト上昇か
タイ経済・金融市場への影響について、バンコクのエコノミストたちは複数の側面を分析している。まず観光面では、日銀の利上げにより日本円が長期的に強含む可能性があり、タイ人観光客にとって日本旅行のコストが上昇する。2025年は円安恩恵でタイ人訪日客が急増したが、円高に転じると「コスパで日本」という動機が薄れる可能性もある。
タイへの影響②:日系企業投資・タイ不動産市場への波及
次に直接投資の面では、日本国内の金利上昇は日本企業の資金調達コストを押し上げ、海外投資への資金が一部縮小する可能性も否定できない。タイは日系製造業の一大拠点として知られ、自動車・電子機器などの分野で日系企業が多数操業している。タイ投資委員会(BOI)の関係者は「短期的な影響は限定的だが、中長期的なトレンドとして注視している」と述べた。一方、タイの不動産市場では円の価値が上がれば日本人にとってタイの物件を円建てで購入するコストが相対的に下がるため、日本人購入者が増える可能性もある。タイ中央銀行(BOT)は現在、政策金利を2.5%に維持しているが、日米欧の金融政策正常化の流れを受けて、今後のタイ金利動向についての注目度も高まっている。