タイ中央銀行(BOT)の金融政策委員会が6月25日に開催した会合で、政策金利を現行の1.00%に据え置くことを全員一致で決定した。同時に、2026年のGDP成長率予測を従来の2.5%から2.3%に下方修正したことも明らかになった。輸出の回復と観光業の好調は続くものの、米国の通商政策リスクと中国経済の減速という外的な逆風が根強く残っており、成長ペースの鈍化が見込まれることからGDP予測を引き下げた。
委員会は内外の経済情勢を慎重に分析した上で、現行水準の維持が最適と判断。利下げによる景気刺激を求める声もあるが、委員会はバーツ安が輸入コストに与える影響や金融安定リスクも考慮に入れ、様子見姿勢を継続した。
金利1%維持の背景と意図
タイ銀行が金利を1%に据え置いた主な理由は、インフレ率が依然として低水準にある一方、国内経済の回復が確実なものとはなっていないためだ。政府はかねてより「もっと金利を下げて景気を押し上げるべき」と中銀に圧力をかけてきた経緯があるが、中銀はあくまで独立した判断を優先した。タイ中央銀行の政策独立性をめぐる議論は今後も続きそうだ。GDP予測の下方修正は、下半期のタイ経済に対する慎重な見方を示すものでもある。
投資家・在留邦人へのインプリケーション
金利が低水準に据え置かれたことで、タイのバーツは当面ドルに対して上昇圧力が限られる見通しだ。タイ株市場(SET)は政策金利据え置きを概ね織り込み済みとしており、短期的な大きな変動は見込まれていない。ただしGDP成長率の下方修正は中長期的な株価の重荷となりうるため、投資家はタイ国内消費や観光業の回復ペースを引き続き注視する必要がある。