5月7〜9日、フィリピン・セブ市で「第48回ASEANサミット」が開幕した。タイからはアヌティン・チャーンビラクル首相が出席し、中東情勢の悪化がASEAN諸国の経済に与える影響や、エネルギー・食料安全保障の重要性を訴えた。
今回のサミットは、中東危機が深刻化する中での開催となり、例年以上に経済安保と域内連携が注目された。
中東危機がASEANを直撃——航空・観光・エネルギーに深刻な影響
タイを含むASEAN各国は、中東紛争の余波を強く受けている。航空燃料費の急騰(前年比80%以上)による運賃高騰と座席削減(930万席消滅)が観光業を直撃。タイだけでも2026年第2四半期の外国人観光客が9.2%減少すると予測されており、観光依存度の高い国々では深刻な景気悪化が懸念されている。
アヌティン首相は会議の場で、域内の航空・観光連携を強化するよう呼びかけた。また、エネルギー輸入の中東依存を減らすための「クリーンエネルギー移行」の加速を提唱し、ASEAN諸国間での再生可能エネルギー技術の共有を求めた。
海洋安全保障と南シナ海問題も協議
今回のサミットでは、南シナ海をめぐる領土問題も重要議題のひとつとなった。中国の活動拡大に対し、ASEAN各国が一枚岩で対応できるかが問われた。ただし、中国に経済的に依存する加盟国も多く、強い声明を出すことへの抵抗も一部にあったとされる。
タイはASEAN域内での外交的地位を維持しながら、国内経済の立て直しという困難な課題にも直面している。アヌティン首相の外交活動は、国内の政治基盤固めにも重要な意味を持つ。
ASEAN10カ国が連携して課題に取り組む姿勢を示した今回のサミット。成果が実際の政策に結びつくかどうかが、今後の焦点となる。