バンコク近郊ノンタブリ県にある名門校、テープシリン・ノンタブリ校で8月7日、在校生の男子生徒が銃を乱射し、教員や児童・生徒を含む9人が死亡、15人が負傷する事件が起きた。タイ史上でも最も深刻な学校銃撃事件の一つとして、国内に大きな衝撃を与えている。
タイの報道各社によると、加害者は同校に通う中学3年の男子生徒。事件当日、まず自宅で祖父母を射殺したとみられ、その後、祖父の所有していた銃を持ち出して学校に向かい、校内で発砲したとされる。当初は教員4人と児童・生徒1人の死亡が伝えられていたが、その後、重体だった12歳の女児が死亡するなど犠牲者は増え続け、8月7日夜の時点で自宅での祖父母2人を含め合計9人が死亡、15人が負傷したことが確認されている。加害者の男子生徒自身も、その後死亡したことが警察によって確認された。
政府が犠牲者に1人当たり100万バーツの補償
事件を受けてタイ政府は緊急に閣議で対応を協議し、犠牲者の遺族に対して1人当たり100万バーツ(現在のレートで日本円にしておよそ400万円強)の弔慰金を支給することを決定した。これとは別に、権利保護局からも1人当たり30万バーツの追加支援が行われるという。負傷者のうち複数人が依然として重篤な状態にあり、地元の病院は献血への協力を市民に呼びかけている。
アヌティン首相は事件の動機について、学業に関する強いストレスなど複数の要因が絡んでいる可能性があるとの見方を示し、警察トップと犯罪抑止部門の責任者を招集して銃器の管理体制について協議するよう指示した。テープシリン・ノンタブリ校は8月10日から14日まで臨時休校とすることを発表している。
相次ぐ学校での銃器トラブル、社会に広がる不安
今回の事件と前後して、バンコク市内の別の名門校でも生徒が拳銃を持ち出して同級生を脅すトラブルが発覚するなど、教育現場における銃器の管理をめぐる不安がタイ社会全体で急速に高まっている。内務省は銃器や薬物の管理を強化するための全国的な検問態勢の構築を進めており、学校側も金属探知機の導入や送迎時間の厳格化など、独自の安全対策に乗り出している。
本来もっとも安全であるはずの教室が惨劇の舞台となったことに、タイ国内では銃規制のあり方や、若年層が抱えるストレスへの向き合い方について、改めて議論が広がっている。

