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タイ入国規制強化、ビザラン難民たちはどうする?今後の選択肢を整理

「陸路2回」「60日→30日」新ルール、あなたの滞在プランは大丈夫か

タイ在住・タイ通いの日本人にとって、長年の”常識”がここにきてひっくり返る。ビザなし滞在が60日から30日へ半減、しかも陸路国境からの入国は年2回まで――。「とりあえず60日いてダメなら国境タッチ」というこれまでの緩い運用が、事実上終わりを告げようとしている。政府がここまで舵を切った背景には何があるのか、そして”ビザラン勢”はどう動くべきか。ポイントを整理する。

① 60日→30日、施行は9月15日

今回の変更は5月の閣議で承認され、8月31日に官報掲載、その15日後――つまり9月15日から施行される。対象は日本を含む60カ国のビザ免除対象国民。2024年7月に「観光振興」を旗印に30日から60日へ延長されたばかりだったのに、わずか2年での方針転換だ。なお中国(30日)や韓国(90日)のような二国間協定に基づく措置はこの変更の対象外で、従来どおり運用される。すでに9月15日より前に入国し60日の許可を得ている人は、その期限まで滞在可能という経過措置も用意されている。

② 陸路国境は「年2回」の壁が復活

見逃せないのが、陸路からのビザなし入国を暦年(1月〜12月)で年2回までに制限するルールの”復活・厳格化”だ。この規定自体は2016年から存在していたものの、運用がゆるかったため、これまで多くの長期滞在者が国境を跨いでは戻る”ビザラン”を繰り返してきた。今後は空路での入国には回数制限がない一方、陸路は完全に狙い撃ちにされる形になる。なおマレーシア・ブルネイ・インドネシア・シンガポール国籍者はこの制限の対象外。国境の街に日帰りで通うだけの”お手軽ビザラン”は、もはや過去の手法になりつつある。

③ なぜ今、締め付けに転じたのか

シハサック副首相兼外相は5月、「60日は長すぎる可能性がある」と述べ、制度が観光目的以外に使われている実態への懸念を表明した。政府が問題視しているのは、長期滞在の隙間を突いた不法就労や無許可の事業活動、そしてカンボジア・ラオス・ミャンマー国境周辺で暗躍する越境詐欺拠点との関係だ。タイ入管はすでに「No Entry, No Stay, No Escape」という取り締まりキャンペーンを展開しており、2026年6月だけで資金不足やビザラン的な入出国パターンを理由に約2万9490人の外国人の入国を拒否したと報じられている。イミグレーション職員は今や現在のスタンプだけでなく、パスポート全体の入出国履歴を精査し、「60日か90日の滞在をほぼ間隔なく繰り返している」ようなパターンを重点的にチェックしているという。

④ 「有給ビザラン」勢が直面する岐路

これまで観光ビザなし滞在を繰り返しながら実質的にロングステイしてきた層にとって、今回の変更はまさに正念場だ。国内のイミグレーション事務所での延長申請(30日間・手数料1900バーツ)は引き続き可能だが、それでも合計60日が上限になる計算で、以前の”ビザなし60日+延長”のような余裕はない。かといって陸路国境を年に何度も往復すれば、今度は入管履歴そのものが疑われるリスクがある。

⑤ 生き残る道はあるのか

タイでの中長期滞在を前提にするなら、そろそろ「グレーな運用」から「正規の在留資格」への切り替えを検討すべき局面だ。リモートワーカー向けで最長5年・複数回入国可能なDTV(デジタルノマドビザ)、最長10年の滞在と税制優遇があるLTRビザ、正規留学向けの教育ビザ、50歳以上向けの退職ビザなど、選択肢は複数ある。「ビザラン頼み」の綱渡りを続けるか、リスクを取ってでも正規ルートに移行するか――今回の規制強化は、その決断を先延ばしにできない段階まで来たことを告げている。


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