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「息子は留置場、母は署内の井戸で」ラーチャブリー県、拘留中容疑者の母親が転落死

息子が留置場に入れられたその日、面会に訪れた母親が署の敷地内で命を落とした。タイ中部ラーチャブリー県の警察署で14日夜、拘留中の容疑者の母親が、敷地内にある古い井戸に転落して死亡した。

死亡したのは50代とみられる女性。息子が窃盗の疑いで拘束されたことを知り、署に様子を見に訪れていたという。関係者によると、女性は面会の順番を待つ間に敷地内を歩き回り、普段は使われていない古い井戸に近づいた際、足を滑らせて転落したとみられる。井戸の周囲には十分な柵や照明がなく、夜間は特に見えにくい状態だったという。

「まさかこんな場所で」近隣住民も驚き

署の近隣に住む住民は「あの井戸は何年も前から使われていないはずだ。まさかあそこで人が亡くなるとは」といった趣旨の反応を示した。署内の古い設備が放置されていたことに驚く声が、地域のSNSグループでも相次いで投稿された。

「本来は危険な場所に柵を設けておくべきだった」「警察署の中でこんな事故が起きるのは信じられない」といった趣旨の書き込みがネット上では相次いだ。一方で「息子を心配する母親の気持ちを思うとやりきれない」と、女性の境遇に同情する声も目立った。

警察は調査委員会を設置

署長は事故の発生を認め、内部に調査委員会を設置して経緯を詳しく調べると説明した。「署内の施設管理に問題がなかったか、7日以内に点検し、必要な安全対策を講じる」といった趣旨の指示を部下に出したという。息子である容疑者は、母親の訃報を署内で知らされ、取り乱す様子が見られたと報じられている。

タイでは警察署や官公庁の敷地内にこうした古い設備が残されたまま放置されるケースが指摘されることがあり、今回の一件は施設管理のあり方に一石を投じる形となった。捜査関係者の間では、今後同様の構造物がある施設を点検する動きが広がる可能性があるとの見方も出ている。息子を心配して訪れた母親を、署そのものの管理不備が奪った格好だ。

家族を思う気持ちが悲劇に転じた

女性の親族は「息子が捕まったと聞いて、居ても立っても居られずに署に向かった」といった趣旨の話をしている。面会の順番が来るまで落ち着かず、敷地内を歩き回っていたところで事故に遭ったとみられ、家族を案じる気持ちがそのまま悲劇につながった形だ。親族の一人は「せめて中で待たせてもらえる場所があれば」と、署の対応にも疑問を投げかけている。

地元メディアの取材に対し、署の関係者は「これまで井戸の存在自体が忘れられていたような状態だった」といった趣旨の説明をしており、長年にわたって危険性が放置されていた可能性をうかがわせている。息子である容疑者の今後の処遇については、母親の死を受けて改めて検討されるとみられ、捜査の行方とともに注目が集まっている。

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