タイの不動産市場調査会社の最新レポートによると、2026年のバンコク首都圏における新規コンドミニアム発売戸数は1万5000〜1万8000戸にとどまる見通しで、コロナ禍前の4〜5万戸規模から大幅に落ち込む状況が続いている。一方、開発各社は低価格帯から高級・超高級物件へと戦略をシフトしており、市場の二極化が鮮明になっている。
なぜ新規物件が激減しているのか
新規物件の激減には複数の要因が絡み合っている。
第一に、コロナ禍とその後の景気回復の遅れにより、既存の在庫物件がなかなかはけない状況が続いている。
第二に、鋼材・セメント・労働費の上昇により中価格帯での事業採算性が低下している。
第三に、金利上昇と融資審査の厳格化により中間層の購買力が低下していることだ。
CBREタイランドのリポートでは「デベロッパーは過剰供給リスクを避けるため、低価格帯の大量供給モデルから転換し、富裕層向け高級物件に経営資源を集中させている」と分析している。
高級化シフトの実態
2026年に発表・販売開始される新規物件の多くは、1平方メートルあたり15万〜30万バーツ以上の超高級コンドミニアムか、郊外の戸建て・タウンハウスだ。
主なターゲットは国内の富裕層と、タイへの移住・投資を検討する中国人・香港人・シンガポール人などの外国人購入者となっている。アソーク、トンロー、エカマイなど人気エリアでは1戸数千万〜1億バーツを超えるラグジュアリープロジェクトの発表が相次いでいる。
中間層は郊外・中古市場へ
購買力が限られる一般的な中間層は、バンコク郊外のBTSやMRT沿線に立地するより手頃な物件や、中古市場に流れる傾向が強まっている。
不動産仲介業者によると「中古コンドミニアムの問い合わせは前年比30%以上増加している」という。タイ政府は外国人の不動産取得制限緩和や低・中所得者向けの住宅支援制度の拡充を検討しているとされるが、具体的な政策はまだ打ち出されていない。業界全体では「2026年は調整局面」との認識が共有されている。