
タイの中小企業信用保証機構(TCG)は、無担保での資金調達が難しい零細事業者向けの新たな信用保証制度「ナノプラス(Nano Plus)」を立ち上げた。総額20億バーツの資金枠を設け、まず第1弾として5億バーツを投入する。
対象となるのは、金融書類や担保を持たないために正規の金融機関から融資を受けられず、高金利のヤミ金融に頼らざるを得なかった、タイ国内の露天商やオンライン販売業者などの零細事業者。TCGが融資を仲介するノンバンク各社の不良債権リスクの最大5%を保証することで、金融機関側のリスクを軽減し、融資実行のハードルを下げる仕組みだ。すでに10社以上のノンバンクが制度に参加しており、今後さらに参加機関を増やしていく方針だという。
保証期間は最長4年間で、1人当たりの平均融資額は2万バーツを想定。対象者数は10万人超に上る見通しで、これにより約14万6000人分の雇用維持につながると見込まれている。零細事業者にとっては、開業資金や運転資金の調達手段が広がることになる。
エクニティ副首相兼財務相は、「今回の制度により、零細事業者が正規の金融システムの中で、より容易に資金を調達できるようになる。高コストな非公式の借入への依存を減らすことにもつながる」と述べた。財務省は今回の制度を通じ、インフォーマル経済で活動する事業者を正規の金融システムに取り込む狙いもあるとしている。
タイでは物価上昇や個人債務の増加を背景に、零細事業者の資金繰りが厳しさを増しており、タイ政府はノンバンクを通じた融資支援策の拡充を急いでいる。今回のナノプラスが、実際にどれだけの零細事業者の資金アクセス改善につながるか、運用実績が注目される。