カンボジアのハッカー、タイ政府サイトを攻撃 国境緊張がサイバー空間に飛び火

タイとカンボジアの国境緊張が、ついにサイバー空間にまで波及した。カンボジアのハッカーグループがタイ政府の複数のウェブサイトに対してDDoS(分散型サービス妨害)攻撃を仕掛け、一時的なアクセス障害を引き起こしたとタイ当局が報告している。両国関係が2025年の武力衝突以来、最悪の状態に陥る中、「デジタル戦争」という新局面が加わった格好だ。

標的はタイ政府・軍関連サイト

攻撃を受けたのは、タイ政府機関や軍・警察関連の複数のウェブサイト。DDoS攻撃は大量のアクセスを意図的に集中させてサーバーをダウンさせる手法で、システムを破壊するわけではないが、行政サービスの停止や情報発信の妨害として大きな打撃となる。タイのデジタル経済社会省(MDES)およびタイコンピュータ緊急対応チーム(ThaiCERT)が攻撃を検知し、迅速な対応を取ったと発表した。

背景にあるMOU44破棄と国境紛争

攻撃の背景には、タイ内閣が2026年5月5日に承認した「MOU44(タイ・カンボジア海洋境界覚書)の破棄」がある。タイはこの2001年締結の覚書を一方的に廃棄し、今後はUNCLOS(国連海洋法条約)に基づく国際法廷での解決を目指す方針を示した。カンボジア側は「遺憾」を表明しつつも、自国もUNCLOSによる調停申請を準備中だと明かした。国境問題は2025年に武力衝突にまで発展し、双方で数十万人の避難民が出る事態となっており、両国関係はデリケートな状態が続いている。

タイがサイバー防衛を強化

タイのサイバーセキュリティ当局はDDoS攻撃を受け、政府サイトの防衛を強化するとともに、関連機関に対してセキュリティパッチの適用と監視体制の強化を指示した。今回の攻撃は国家レベルの指示によるものかどうかは確認されていないが、タイ当局は「組織的な動きの可能性が高い」と見ている。サイバー空間での攻防が、今後の外交交渉にどう影響するかが注目される。

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