
タイ運輸省とタイ警察は2026年7月23日、警察本部で覚書(MOU)の第1次改定に調印し、交通違反反則金の未払い記録を自動車税の年次更新手続きに連動させる新制度を導入することで合意した。ピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相が発表した。
制度の概要
新制度は2026年8月1日以降に発行される違反切符から適用され、遡及効果はない。反則金を期限内に支払わない場合、法律に基づきまず正式な警告通知が送付される。それでも未払いが続くと、切符発行から60〜90日後を目安に、その記録が陸運局(DLT)へ送信される仕組みだ。
自動車税を更新する際、この未払い記録がシステム上に反映され始めるのは2026年10月〜11月頃と見込まれている。
税は更新できるが正式なステッカーは発行されず
未払いの反則金がある車両所有者も、年次自動車税自体は引き続き支払うことができる。ただし、正式な納税ステッカー(タックスディスク)は発行されず、代わりに有効期間30日の仮書類が交付されるにとどまる。
この30日間のうちに反則金を完納しなければ、仮書類の失効後は正式なステッカーを掲示せずに走行することになり、これが別の違反として扱われ、追加の罰金が科される可能性がある。
手続きの透明性も強化
新システムは取締りの実効性を高めるだけでなく、手続きの透明性向上も狙いとしている。税更新窓口では、対象となる未払い違反の記録をリアルタイムで表示できるようになり、違反切符や警告通知の写し、郵送・受領の証明、取締りを行った警察官の情報なども確認可能になる。
運転者はその場で記録を確認し、反則金を運輸局窓口で即時に支払うことができ、支払い完了後に正式な納税ステッカーが交付される仕組みだ。
調印式には、ピパット副首相兼運輸相のほか、シリポン・アンカサクンキアット運輸副大臣、サムラン・ヌアンマー副警察庁長官、ソラポン・パイトゥーンポン陸運局長官らが出席し、デジタル政府開発機関(DGA)やクルンタイ銀行など関係機関の幹部も同席した。
背景 ― 深刻化する道路事故と数千万件の未払い切符
ピパット氏は、タイの交通事故件数が増加を続け、多大な損失を生んでいる背景には、交通規律の乱れと取締りの実効性不足があると指摘。数千万件規模の交通違反切符が未払いのままとなっており、これが道路利用者や観光客の信頼にも影響していると述べた。
同氏は、過去に警察とDLTの間でデータ共有が機能していた時期には事故件数が着実に減少していたと説明。政府は行政裁判所の判決や法の支配、国際基準に沿う形で、警察とDLTに取締り体制とデータ連携システムの見直しを指示したという。
この覚書は、国連の方針に沿って交通事故死者数を人口10万人あたり12人まで削減することを目指す「道路安全マスタープラン2022-2027」を支える施策と位置づけられている。ピパット氏は、運転行動の変容、交通規律の強化、道路利用者の保護、観光客の安心確保、そして持続可能な道路安全の実現に向けた重要な仕組みになるとの見解を示した。
