
バンコク都が娯楽施設への一斉検査に乗り出し、わずか1週間で79軒に営業停止・一時閉鎖を命じた。無許可営業や安全基準違反が次々と発覚している。
バンコク都が7月19日から26日にかけて実施したのは「娯楽施設」と、実質的にそれに近い形態で営業する飲食店を対象とした集中検査だ。対象は合計865軒、都内の該当施設の約72%をカバーした。
79軒の内訳は「無許可」がほとんど
処分を受けた79軒の内訳は明快だった。バンド演奏など音楽興行の営業許可を持たないまま生演奏を提供していた19軒に対して演奏停止命令、営業許可そのものを取得していなかった60軒に対して一時閉鎖命令が出された。
さらに、直ちに閉鎖には至らないものの改善が必要と判断された施設が618軒にのぼる。消防設備の不備、非常口の確保不足、収容人数超過などが指摘された。
「許可を取らずに営業している店がこれだけあるという事実そのものが問題です」。バンコク都の担当者はそう述べ、検査を継続する方針を示した。
背景にあるのは相次ぐ火災事故
バンコク都がここまで踏み込んだ背景には、飲食・娯楽施設での火災事故が相次いだことがある。7月にはラープラオ地区のビール工場で大規模火災が発生し、150人規模の目撃者聴取が行われる事態となった。
都はこれ以前にも、安全基準に問題があるとして56軒の事業所に一時閉鎖を命じている。今回の79軒はそれに続く措置だ。
チャチャート都知事は、娯楽施設のゾーニング(営業区域指定)そのものを見直す考えも示している。現行のゾーニング制度は数十年前の街の姿を前提としており、実態と合わなくなっているとの指摘が以前から出ていた。
「グレーゾーン」の飲食店が焦点に
今回とりわけ問題視されたのが、「娯楽施設に類似した飲食店」というカテゴリーだ。形式上はレストランとして営業許可を取りながら、実態は深夜まで生演奏とアルコールを提供するナイトスポットとして機能している店が少なくない。
この形態は許可のハードルが低い一方、消防・避難に関する規制も緩い。火災が起きたとき、被害が拡大しやすい構造がそこにある。
日本人が多く暮らすトンロー、エカマイ、プロンポン周辺にもこうした店舗は数多く存在する。今後、営業時間の変更や一時休業が発生する可能性があり、来店前の確認をおすすめしたい。
安全のための検査に文句を言う人はいない。ただ、865軒を回って79軒が「そもそも許可なし」という結果は、これまで誰が何を見ていたのかという別の問いも投げかけている。
