タイ東部チャンタブリー県の国境警備当局は7日夜、カンボジア側から密かにタイへ越境しようとした中国人14人を一斉摘発し、全員を不法入国の疑いで逮捕したと発表した。
国際的な密入国ネットワークが関与している可能性があるとして、当局は現在、背後関係の解明に向けた捜査を進めている。摘発の情報はタイ国内外のメディアで大きく報じられ、改めてタイ国境管理の在り方が問われている。
密林を徒歩で深夜移動
当局によると、逮捕されたのは中国人男女14人で、年齢は20代から40代にわたる。彼らはカンボジアとタイの国境付近の密林地帯を徒歩で移動し、正規の検問所をすべて避けるルートで不法越境を図ったとみられている。
国境警備隊が定期パトロール中に不審なグループを発見。周囲を包囲して全員の身柄を確保した。14人はいずれも有効なビザやパスポートを所持しておらず、入国に必要な書類が一切なかった。
背後にブローカー組織か
タイ当局の捜査担当者によると、逮捕された人物の証言から、カンボジア国内に拠点を置くブローカー組織が関与している可能性が高いとみている。こうした組織は1人あたり数万バーツの費用を徴収し、タイへの密入国を手配するビジネスを展開しているとされる。捜査当局はカンボジア警察とも情報共有を進めており、組織の全容解明に乗り出している。
近年、タイ国内でのオンライン詐欺施設への強制連行問題が国際的に注目を集めており、ミャンマー国境付近のみならずカンボジアからの入国ルートも問題視されている。当局は今回の14人について、詐欺施設への人身売買被害者である可能性を念頭に置いて調べを進めている。
ドローン・センサーで監視強化
タイ内務省は2026年に入り、カンボジアおよびミャンマーとの国境地帯における監視体制を大幅に強化しており、ドローンや赤外線センサーを活用した24時間監視システムを段階的に導入している。今回の摘発はその成果の一つと評価されているが、国境線の全長は膨大であり、完全な封鎖には依然として課題が残る。
逮捕された14人はイミグレーション当局に身柄を移送され、違反内容の審査と強制送還の手続きが進められる。事情聴取ではブローカーの特定や他の密入国ルートの洗い出しも並行して行われる見込みだ。地元メディアは「今回摘発されたのは氷山の一角に過ぎない」と指摘しており、より包括的な対策を政府に求める声が高まっている。