55年にわたり寺で修行を続けてきた76歳の尼僧が、「マッサージ師」を名乗る2人組にまんまと現金を持ち去られた。
タイ中部ラチャブリ県の著名な寺院「ワット・カオワン」で、マンコン尼僧、76歳が現金20万バーツ以上をだまし取られる事件があった。地元警察によると、容疑者の2人組はマッサージ師を装って寺院に立ち入り、1人がマンコン尼僧の脚をマッサージして注意をそらす間に、もう1人が部屋への出入りを繰り返して警戒心を解いていったという。
「油を取りに行く」と言い残し姿を消す
2人はひとしきりマッサージを終えたあと、「マッサージ用の油を取りに行く」と告げてその場を離れた。ところが2人は戻らず、マンコン尼僧が部屋を確認すると、保管していた現金20万バーツ以上が消えていた。55年間、この寺で信仰生活を送ってきたマンコン尼僧にとって、まさかの被害だった。
防犯カメラの映像を手がかりに捜査
ラチャブリ警察は寺院に設置された防犯カメラの映像を確認し、容疑者2人の姿を捉えることに成功した。現在、映像をもとに身元の特定を急いでおり、周辺地域への聞き込みも並行して進めている。寺院関係者の間では「信仰の場を狙う卑劣な手口」への憤りの声が広がっているという。
タイでは寺院や高齢者を狙った「出入り業者」を装う詐欺被害が各地で報告されており、警察は寺院に対し、身元不明の業者を安易に立ち入らせないよう注意を呼びかけている。
「まさか寺の中で」信者に広がる衝撃
事件を知った近隣の信者からは、「あんな神聖な場所で泥棒が働くとは」「マッサージ師のふりをするなんて手が込んでいる」「お年寄りが一人でいる時間帯を狙ったのだろう」といった趣旨の声がSNS上でも広がった。ワット・カオワンは地域住民の信仰の拠り所として長年親しまれてきただけに、寺院関係者のショックは大きい。
マンコン尼僧は事件後も落ち着いた様子で修行生活を続けているというが、寺院側は今後、出入り業者の身元確認を徹底するなど、再発防止策の検討に入っている。ラチャブリ県内では過去にも寺院を狙った同種の手口が散発的に報告されており、警察は周辺の寺院にも注意喚起の文書を配布する方針だ。
今回盗まれた20万バーツは、寺院の維持や信者への布施に充てる目的で保管されていた資金だったとみられる。地元では、犯人がマッサージという体を張った手口で長時間にわたり被害者の警戒を解いていった手口の巧妙さに驚きの声が上がっており、寺院関係者は「今後は知らない業者を一人にはさせない」と対応を強めていく考えを示している。