「警察だ」と名乗る男女6人組に取り囲まれ、女性は車に押し込まれた。だが、その正体は警官どころか、素性不明の一団だった。
現場はパトゥムターニー県ムアン郡バーンプロック、ワット・ホンパトゥマーワート付近。事件が起きたのは9月1日未明のことだ。
被害に遭ったのは43歳の女性(仮名ジェン)。当時、付近で一人休んでいたところを取り囲まれたという。周囲に助けを求められる人影はなかったとされる。
「友人が覚醒剤所持」を口実に脅迫
男女6人組は警察を装い、女性の友人が覚醒剤を所持していると言いがかりをつけた。そのまま女性を車に押し込み、複数の警察署を転々とたらい回しにしながら脅し続けたとされる。
一連のやり取りの間に、現金400バーツと携帯電話が女性の手元から消えた。恐怖のあまり、その場では抵抗もできなかったという。移動を繰り返すことで女性を混乱させ、逃げる隙を与えなかったとみられる。
目撃者からは「深夜に女性が男女数人に囲まれているのを見た」といった趣旨の証言があった。当時は事件と気づかず、通報には至らなかったという。後になって振り返れば、あの光景が事件の瞬間だった。
3日後に正式被害届、女性「警官のふりをするとは」
女性が正式に被害届を出したのは、事件から3日後の9月4日だった。ジェンさんは「善良な市民を名乗りながら警官のふりをするとは」と憤りをあらわにした。恐怖から届け出をためらっていた時間も長かったとみられる。
捜査関係者からは「自称『善良市民』を名乗るグループの手口として、余罪の有無も含めて調べる」といった趣旨の方針が示された。同種の被害が他にもないか、周辺への聞き込みも続けられている。複数の警察署を経由した経路の特定も課題になるとみられる。
SNS上では「善良市民を名乗る自警団気取りが一番怖い」「警察署をたらい回しとは大胆すぎる」「早く身元を特定してほしい」といった趣旨の書き込みが並んだ。自身も声をかけられた経験があるという投稿も見られたという。
正義を装った恐喝は、警察署の前ですら平然と行われていた。本物の警察も、さぞ迷惑なことだろう。