タイが東南アジアにおけるAI(人工知能)投資の中心地としての存在感を高めている。米グーグルのアジア太平洋地域担当副会長カラン・バジワ氏は、タイが「AI投資のハブ」となる可能性を持つと指摘し、同社が今後12か月間で「過去10年分以上に相当するインフラ」を構築する計画を明らかにした。
バジワ氏は、タイが他国と比較して「10%以上のコスト優位性」を持つと評価しており、電力コストや土地取得のしやすさなどがグローバル企業誘致の追い風になっているとみられる。
ガルフ社は既に25メガワット稼働中
タイのエネルギー大手ガルフ・エナジー・ディベロップメントは、データセンター向けにすでに25メガワットの電力供給設備を稼働させており、さらに200メガワット近くが建設中であることを明らかにした。同社会長は、タイが地域のデジタルインフラ基盤として機能することの重要性を強調し、「Direct PPA(電力購入契約)」など、明確な電力規制の整備を政府に求めている。
タイのエネルギー省次官は「タイは現在1万メガワットの余剰電力を保有している」と説明し、既に50件のデータセンター関連プロジェクトの申請を受け付けていることを明らかにした。政府は新たな電力開発計画(PDP)の策定も進めており、AI関連投資の受け皿づくりを急いでいる。
東南アジアの競争が激化
東南アジアにおけるAI基盤投資は、シンガポールやマレーシアを経て、段階的にタイへと拡大している構図がある。電力供給の安定性や規制の透明性、そして高度人材の育成が、各国の競争力を左右する重要な要素として指摘されている。
タイ政府としては、豊富な電力余剰と地理的な優位性を武器に、グローバルなテクノロジー企業の投資を呼び込みたい考えだ。今後、実際にどれだけの投資が具体化するかが、タイのデジタル産業の将来を占う試金石となりそうだ。