タイの取引競争委員会が、大企業と中小企業(SME)の間の公正な取引慣行に関する新たな規則を承認したことを受け、タイ商業会議所は、モダントレード企業などの大企業がSMEに対して代金を30日から45日以内に支払うべきだとする基準の導入を提言した。
この施策の狙いは、資金繰りに苦しむ中小企業の流動性問題への対応にある。支払い期限があらかじめ明確になれば、企業は生産計画や原材料の調達、従業員への給与支払い、コスト管理をより見通しよく組み立てられるようになるという。中小製造業協会会長でタイ商業会議所副会長を兼ねるウィーラチャイ・マンシンソー氏は「重要なのは誰が大企業で誰が小企業かではなく、すべての当事者にとって公正で実行可能なルールを作ることだ」と強調した。
「一律の期間では対応できない」業界特性への配慮も
ウィーラチャイ氏は同時に、業界ごとに商習慣が大きく異なる点にも注意を促した。取引される商品によって検査や品質確認、基準チェックにかかる時間はさまざまで、「すべてのビジネスに同じ枠組みを一律に適用すべきではない」との立場を示している。そのうえで、業界ごとの多様性を考慮した柔軟な制度設計と、買い手・売り手双方からの意見聴取を求めた。
サプライチェーン全体の強化を視野に
中小企業は資金力や流動性の面で大企業に比べ制約が大きく、売上金の回収までの間、運転資金の圧力にさらされやすい。商業会議所は「すべての事業規模がサプライチェーンの中で結びついている」として、中小企業の資金繰り改善が最終的にはタイ経済全体の底上げにつながるとの見方を示している。今後は関係省庁を交えた協議を経て、具体的な運用ルールの策定作業が進む見通しだ。