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ニデック、カンボジア・ポイペト工場を閉鎖へ タイ国境閉鎖に伴うコスト上昇や受注減が経営圧迫

モーター大手のニデックは、タイと国境を接するカンボジア西部バンテアイメアンチェイ州ポイペトにある生産拠点「ニデックダイキャスティング(カンボジア)」の操業を10月22日に終了する。カンボジアでの生産から撤退することになる。タイとカンボジアの国境閉鎖に伴う物流コストの上昇や受注減少が経営を圧迫した。

現地報道によると、同社は8月15日、従業員に対して工場を閉鎖し、10月22日まで操業を続ける方針を通知した。カンボジア労働・職業訓練省の報道官も翌16日、同工場が操業停止を決めたことを確認した。

同工場は精密モーター向け部品を製造する拠点で、ニデックの公式サイトにも「精密モータ用部品の製造」を事業内容として掲載されている。所在地はタイ国境に近いポイペト市のプサー・カンダル地区。ニデックグループにとってカンボジア唯一の生産拠点だった。

カンボジア労働・職業訓練省によると、同工場の従業員は724人。今回の閉鎖で、同州ではニデックを含む3工場が閉鎖または閉鎖予定となり、影響を受ける労働者は約4,000人に上る。

背景には、2025年末以降のタイ・カンボジア国境を巡る緊張がある。ポイペトはタイとの国境貿易の主要拠点で、工場からタイ側の生産拠点などへの部品輸送にも国境ルートが利用されてきた。国境閉鎖によって従来1~2時間程度だった輸送に大幅な迂回が必要となり、輸送費が急騰したという。カンボジア労働・職業訓練省は、輸送費が「数十倍」に上昇したと説明している。

ポイペトでは、ニデックに先立ち、中国系の縫製企業ML Intimate Apparel(Cambodia)が4月27日に閉鎖。タイ系のHi-Tech Apparel(Cambodia)も8月末までに操業を停止した。受注減少に加え、原材料や製品の輸送が困難になったことが要因となっている。

ニデックは2012年、ポイペトにSC WADO Component(Cambodia)を設立し、同国での生産を開始した。当時はハードディスク駆動装置(HDD)向け部品の生産拠点として、約10億円を投資し、将来的には最大5,000人規模まで従業員を増やす計画を示していた。

今回の撤退は、カンボジアとタイの国境をまたぐサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにする。特にポイペトは、タイ東部などの工業集積地とカンボジア側の低コスト生産拠点を結ぶ「越境型」の製造拠点として発展してきただけに、国境物流の長期的な混乱は日系企業を含む製造業の投資判断にも影響を与える可能性がある。

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