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日本企業の対タイ投資が5年で3960億バーツ、新設より既存工場の刷新へ軸足

日本企業のタイへの投資は止まっていない。ただし、お金の向かう先が変わった。タイ投資委員会(BOI)、日本貿易振興機構(ジェトロ)、盤谷日本人商工会議所(JCC)がまとめた集計によると、過去5年間で日本企業がタイに申請した投資奨励は1380件、総額およそ3960億バーツにのぼる。

対象期間は2021年から2026年上半期まで。1件あたり平均で約2億8700万バーツという規模になる。集計は8月14日に公表された。

59%が「機械の入れ替え」

注目すべきは、その資金の使い道だ。新しい工場をゼロから建てるのではなく、すでにタイにある拠点の中身を新しくする動きが目立つ。

調査によれば、59%の企業が機械設備の入れ替えを計画している。31%が既存設備の効率改善、22%がデジタルトランスフォーメーションへの投資を挙げた。土地を買って建屋を建てる時代から、今ある建屋の中身を作り替える時代への移行である。

タイは1980年代から日本の製造業の一大集積地となってきた。バンコク東方のチョンブリ、ラヨーン、アユタヤ一帯には日系工場が密集し、部品メーカーまで含めた供給網が根を張っている。その資産をどう更新するかが、いま日本企業の主題になっている。

景況感はマイナス6に沈む

一方で、景況感は明るくない。504社を対象とした調査で、2026年前半のディフュージョン・インデックス(DI)はマイナス6となった。2025年後半のゼロから低下している。

理由として挙がったのは、原材料コストと、中東情勢に絡む輸送費の上昇だ。タイで作って世界へ送る、というビジネスモデルは、海路の安定を前提としている。その前提が揺らげば、コストは直撃する。

ただし、すべてが暗いわけではない。半導体と電子部品の分野は底堅く、工場と設備への投資需要が続いているという。

日本企業がタイ政府に求めているもの

調査では、日本側が政府に期待する支援策も聞いている。最も多かったのは税制・金融面の優遇で29%。次いで国内市場の振興が26%、自由貿易協定の拡大が24%だった。

BOIのヌレッタム事務局長は、産業をより高付加価値な活動へ引き上げる必要性を強調し、人材の能力開発と持続可能な製造の支援を進める考えを示している。

タイ政府は近年、中国系企業の急速な進出とEVシフトへの対応に追われてきた。そのなかで、40年以上タイに根を下ろしてきた日本企業の存在感をどう保つかは、政策の難所でもある。

3960億バーツ。日本円にすればおよそ1兆8000億円規模だ。派手な新設投資の数字ではないが、既存の生産基盤を守り続けるという意思表示としては、十分に重い。

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