
タイ最大級の財閥CPグループ(正大集団)が、バンコクとスワンナプーム空港、ドンムアン空港、ウタパオ空港を結ぶ「3空港連結高速鉄道」事業をめぐり、政府に契約解除を要求していることが分かった。これに対しアヌティン首相は8月28日、一方的な契約解除には応じられないとの姿勢を明確にした。
CPグループは、事業契約の解除に加え、既存のエアポートリンク(空港連結鉄道)の運行を9月30日で終了させるよう政府に求めているという。同事業は長年にわたり工期の遅延が続いており、東部経済回廊(EEC)構想の中核インフラとして位置づけられている。
「解除した側はブラックリスト入りも」
アヌティン首相はCP側の要求について「詳細をまだ聞いていない」としつつ、来週にもEEC事務局長を招いて協議する意向を示した。その上で「国家との契約を一方的に解除するのは簡単ではない。解除した側はブラックリストに登録され、責任を負うことになる。再入札で費用が増えれば、その差額を請求される可能性もある」と述べ、CP側を強くけん制した。
3空港連結鉄道は、タイ政府が国家的な重要インフラ投資と位置づけてきた事業で、事業計画の停滞は東部経済回廊全体の開発スケジュールにも影響を及ぼしかねない。
両者の綱引き、着地点は見えず
タイ国有鉄道を含む関係機関は今後、CP側との協議を通じて事業継続の可否を探ることになる。契約解除が現実になれば再入札などの手続きが必要となり、事業の完成はさらに遅れる可能性が高い。政府と財閥の綱引きの行方は、タイの重要インフラ政策の先行きを占う試金石となりそうだ。
3空港連結鉄道をめぐっては、これまでも工事用地の引き渡しの遅れや、事業計画そのものの採算性をめぐる議論が続いてきた経緯がある。今回のCP側の要求は、こうした長年の停滞に対する事業者側のいら立ちの表れとも受け止められている。
一方で政府としては、外国投資家や国際金融機関からの信認にも関わる大型インフラ事業だけに、安易な契約解除を認める姿勢は見せられない事情もある。バンコクの都心と3空港を結ぶ利便性向上は、タイの国際競争力強化に直結するテーマだけに、今後の協議の行方に関係者の注目が集まっている。