
タイ政府は、従来の徴兵制から志願兵制度への段階的な移行を目指し、2027年度から新たな志願兵の募集を開始すると発表した。月給と手当を合わせて1万5000バーツを支給するほか、医療保障や生命保険も付帯する内容で、若年層の応募を促す狙いがある。
対象となるのは、学生軍事訓練課程を修了した者や兵役満期除隊者ら。士官候補者は学士号を持つ18〜35歳、下士官候補者は高卒または高等職業訓練修了の18〜30歳が条件となる。契約期間は4年単位で、最大2期(計8年)まで更新が可能だという。
収入・スキル・教育の「3つのメリット」を強調
国防省関係者は、志願兵制度のメリットとして、安定した収入と福利厚生の確保、実務経験や体力・精神面の鍛錬によるスキル開発、そして学歴・資格取得の教育機会を挙げる。さらに、任期後は正規の軍への編入で優遇されるほか、民間企業への転職でも軍での経験を実績として活用できる制度設計になっているという。
募集期間は2026年9月10日から2027年1月24日までで、オンライン申請のほか全国の軍事事務所でも受け付ける。国防省の担当者は「若い世代に、安定した収入を得ながら国家に貢献できる選択肢を示したい」と説明した。
徴兵制廃止への布石、専門家の見方は分かれる
タイでは長年、くじ引きによる徴兵制度が続いており、若者の間では不満の声も根強かった。安全保障の専門家は「志願兵の待遇を引き上げることで、将来的な徴兵制廃止への地ならしになる」と分析する一方、「志願者が想定通り集まらなければ、結局は徴兵に頼らざるを得ない」との慎重な見方もある。
安定した給与と将来のキャリアパスを掲げた今回の募集が、どれだけの若者の心を動かすか。タイの兵役制度の行方を占う試金石になりそうだ。