
タイのアヌティン・チャーンウィラクン首相は、一般市民による拳銃の携帯を原則として禁止する方針を打ち出した。違反者には投獄を含む厳格な処罰を科すとしており、スポーツ選手であっても例外は認めないとした上で、自宅への侵入者に発砲した場合でも罪に問われ得ると強い姿勢を示した。政府庁舎内でも抜き打ちの所持検査を行う考えを明らかにしている。
今回の方針表明の背景には、バンコク近郊ノンタブリ県の県庁で、県トップが元国会議員に拳銃で撃たれ死亡するという衝撃的な事件があった。事件後、容疑者が手錠をかけられないまま喫煙する様子が報じられるなど、警察の対応にも批判が集まり、世論の銃規制強化を求める声が一気に高まっていた。
「銃社会」タイへの危機感
タイでは市民の銃所持率が比較的高いとされ、日本メディアの報道でも「銃1000万丁の国」として、成人おおよそ7人に1人が銃を所持している計算になるとの指摘がなされている。今回のアヌティン首相の発言は、こうした「銃が身近な社会」からの転換を図る狙いがあるとみられる。
首相は「正当防衛だと思っても、拳銃を発砲すれば罪に問われる可能性がある。まずは携帯そのものをやめてほしい」といった趣旨の発言をしており、政府機関の職員に対しても抜き打ちで所持品検査を実施する意向を示した。
SNS上では「やっと本気で動き出したか」「自衛のために銃を持つ人はどうすればいいのか」「政治家自身が銃を持ち歩いていないか、まず検査すべきでは」といった賛否入り混じった反応が見られた。実効性を巡っては、既に流通している大量の銃器をどう回収・管理していくのかという課題も残る。今回の方針が実際の法改正や取り締まり強化にどうつながっていくのか、今後の展開が注目される。