どん底からの帰還である。タイ国際航空(THAI)が、2026年の「世界のベスト国際エアライン」ランキングでトップ10入りを果たした。7月30日、経済紙「ターンセタキット」が報じた。会社更生手続きを経て経営を立て直してきた同社にとって、国際的な評価という形での成果は大きい。

「破綻寸前」からの数年間
タイ国際航空は長らく、タイのフラッグキャリアでありながら慢性的な赤字体質に苦しんできた。新型コロナ禍で国際線がほぼ全面停止すると経営は行き詰まり、会社更生手続きに入る。機材の削減、路線の再編、人員のスリム化、そして機内サービスの見直し——痛みを伴う改革を数年にわたって続けてきた。
今回の評価は、その一連の再建が乗客の体験として結実したことを示している。長距離路線のサービス品質と、タイらしいホスピタリティが評価軸で高得点につながったとみられる。
観光立国タイにとっての意味
フラッグキャリアの評判は、その国の観光ブランドと直結する。旅行者にとって航空機の時間は旅程の最初と最後を占める体験であり、そこでの印象は目的地全体の記憶に影響する。
タイ政府観光庁(TAT)は「Value Over Volume」——数を追うのではなく質の高い旅行者を増やすという方針を掲げている。1回の旅行での支出額を引き上げることを狙う戦略において、上位クラスの需要を取り込めるフラッグキャリアの存在は欠かせない。
日本路線という主戦場
日本人旅行者にとっても無関係ではない。バンコク=東京、大阪、名古屋、福岡といった路線は、タイ国際航空の主力の一つだ。日本とタイの往来は、日本側が今年6月にタイ人向けの15日間ビザ免除を2027年6月末まで延長するなど、追い風が続いている。
さらにタイ国内では、プーケット深水港からピピ島を結ぶ水上機「タイ・シープレーン」の10月末就航など、航空を軸にした観光インフラの整備が相次ぐ。国際線と国内二次交通が噛み合えば、滞在の自由度は一段と上がる。
課題は残る
ただし燃油価格の高騰は、すべての航空会社に重くのしかかる。中東情勢の緊張が続く限り、コスト面での圧力は消えない。トップ10という評価を維持しながら収益を確保できるか——真価が問われるのはこれからだ。
それでも、一度は空から消えかけた翼が世界の10位以内に戻ってきた事実は、素直に大きい。