
タイに入国する外国人から、1人あたり450バーツを徴収する。長く議論されてきた「入国税」が、いよいよ具体的な数字と日程を伴って動き出した。
タイ国家観光政策委員会は、外国人観光客を対象とする入国税(通称カー・イアップ・ペンディン=入国料)の導入を承認した。金額は1人450バーツ。空路・陸路・海路のすべての入国経路が対象となる。委員長はスパチャイ副首相が務め、商務省およびスポーツ・観光省が所管する。
2027年第1四半期にまず空路から
導入は段階的に進められる。予定されている開始時期は2027年(仏暦2570年)第1四半期。第1段階として、官報での公示から180日後に空路入国者への徴収を開始する。第2段階として、その後およそ360日で陸路・海路にも拡大する。
つまり、まず空港で始まり、およそ1年遅れて国境の陸路ゲートと港に広がるという設計である。制度開始前には30日間のパブリックコメント(意見公募)期間が設けられる。
「300バーツ・150バーツ」からの改定
入国税の構想自体は以前からあり、当初案では空路が300バーツ、陸路・海路が150バーツと経路によって金額が分けられていた。今回はこれを一本化し、全経路一律450バーツへと引き上げた形になる。
スポーツ・観光省の次官は、450バーツという水準について「現在の経済状況に適合した数値」と説明している。徴収した資金は、観光地の整備や旅行者向けの保険原資などに充てられる方向で検討されてきた。
また、タイと近隣国を頻繁に行き来する利用者への配慮として、複数回入国に対応するチケット方式も検討されている。保険の有効期間内であれば1回の支払いで済ませる仕組みが想定されている。
日本人旅行者への影響
450バーツは日本円でおよそ2000円前後にあたる(為替により変動)。1人あたりの負担としては大きくないが、家族4人で訪タイすれば1800バーツになる。航空券代に上乗せされる形になるのか、到着時に別途支払う形になるのかは、実施段階の詳細に委ねられている。
タイ在住者や長期滞在ビザ保持者、乗り継ぎ客などがどう扱われるかも、現時点では確定していない。免除対象の線引きは実装段階で変わる可能性があると説明されている。
観光業界の受け止め
タイの観光業界では、入国税の導入をめぐって歓迎と懸念が交錯してきた。財源確保と観光地の質向上につながるという期待がある一方、近隣国との価格競争のなかで「入国するだけで課金される国」という印象を与えることを警戒する声もある。
タイは2026年の外国人訪問客を3100万人台と見込んでいる。仮に3000万人が対象となれば、単純計算で135億バーツ規模の収入になる。数字だけを見れば無視できない規模だ。
2027年前半、バンコクのスワンナプーム空港に降り立つ日本人旅行者は、これまでになかった450バーツを意識することになる。パブリックコメントの30日間が、その中身を左右する。