
バンコク都は、身分証番号が「7」で始まるいわゆるピンクカード保持者の住民登録について、全50区を対象とした一斉調査を終えた。対象となったのは1万6634人、1万66世帯にのぼる。
ピンクカードは、タイ国籍を持たない人に発行される身分証明書だ。ミャンマーやカンボジア、ラオスからの労働者を中心に、タイ社会の現場を支えてきた人たちが持っている。
9区で見つかった、13の不自然な住所
調査の結果、9つの区で異常が見つかった。13の住居に、それぞれ16人を超える外国籍者が住民登録されていたのである。都の担当者はこれらの場所について、工場や寮、労働者向けの賃貸住宅であると特定した。
数字だけを見れば、寮であれば16人という人数は不思議ではない。問題は、住民登録という制度が本来「そこに実際に住んでいる人」を記録するものだという点にある。実態と帳簿がずれていれば、行政サービスの配分も、災害時の把握も狂う。
バンコク都知事顧問のアディット・ンガームジットスクシー警察大佐は、今後の対応をこう説明した。「都として特別班を編成し、より深く調べる。実際に住んでいるのは誰か、登録されている人同士の関係はどうか、そして名義移転の書類はどうなっているのかを確認する」。
なぜ今、住民登録なのか
バンコク都はこのところ、住民登録制度の穴に神経をとがらせている。ディンデーン区の集合住宅では、外国籍者の登録に不審な点があるとして、所有者に30日以内の説明を求める事案も起きた。チャッチャート知事は登録システムそのものの見直しを指示している。
背景にあるのは、住所が制度上のさまざまな入り口になっているという事実だ。学校、医療、金融、そして選挙人名簿。住所が実態と切り離されると、制度全体が緩む。
労働者を追い出す話ではない
ここで押さえておきたいのは、この調査が外国人労働者の排除を目的としたものではないことだ。都が問題視しているのは登録の正確さであり、対象13カ所についても違反があったと断定したわけではない。個別に確認したうえで判断するとしている。
タイの建設現場、飲食店、市場。バンコクの日常は、ピンクカードを持つ人たちなしには回らない。日本人が住むコンドミニアムの警備員も、通いのメイドも、その多くがこのカードを持っている。
1万6634人という数字は、バンコクの人口から見ればごく一部だ。ただ、その一部が抜けた瞬間に止まる仕事は、決して少なくない。