
タイ国鉄(SRT)は当初5月1日の予定を前倒しし、4月中に全路線で「20バーツ均一運賃」の試験導入を開始した。当初の計画より早いスタートとなった背景には、庶民の生活コスト抑制を急ぐ政府の意向がある。
新運賃制度は6カ月間の試験期間として実施される。SRTが運行するすべての在来線・特急・急行の通常列車クラスが対象で、路線距離に関わらず一律20バーツ(約80円)で乗車できる。タイ国内の長距離区間の通常料金は数百バーツに及ぶものもあり、低所得者層や通勤通学者にとって大幅な負担軽減となる。
運輸省はこの試験期間中に、乗客数の変化、収入への影響、運行サービスの品質などを詳細に分析し、本格導入の是非や適切な運賃水準を検討するとしている。
アヌティン政権は「庶民の生活を助ける」との姿勢を前面に出しており、20バーツ均一運賃はその象徴的な施策の一つだ。ただ、SRTの財政的な持続可能性を懸念する声も専門家の間にはある。国鉄は老朽化した車両の更新や線路整備にも多額の投資が必要で、運賃収入の減少が設備投資に回す資金を圧迫する可能性が指摘されている。
国民の間では概ね好評で、SNS上では「これで通勤費が月に数千バーツ節約できる」「もっと早く導入してほしかった」といった声が相次いだ。