
配車・配達アプリの運転手が、乗せた女子高生を自宅に連れ込み乱暴する――。タイの警察当局は、バンコク都内で乗客の未成年女性らを狙って性的暴行を繰り返していたとして、20歳の男性ライダーを逮捕した。取り調べに対し男は少なくとも4件の余罪を認めており、被害者の大半は制服姿の女子学生だったという。
捜査関係者によると、直近の事件は8月8日、15歳の女子高校生が配車アプリで車両を呼んだところから始まった。男は本来のルートから外れて自身の自宅方向へ向かい、抵抗する少女の首を絞めて車内から自宅へ引きずり込んだ。その後、性的暴行に及んだ上で、少女を自宅まで送り届け「誰にも話すな」と口止めしたとされる。少女は恐怖のなか周囲に助けを求め、警察に被害を届け出た。
児童・女性の保護を担当する警察部隊が身柄を確保すると、男は当初黙秘していたが、次第に余罪を認め始めた。「客がスマホを見ている隙に、道を変えても気づかれないと思った」といった趣旨の供述をしていると伝えられている。捜査幹部は「被害者は今回判明しているだけで4人。いずれも未成年の女子学生が狙われており、極めて悪質な連続犯行だ」と説明した。
アプリ利用者の間に広がる不安
タイでは近年、配車・配達アプリが通学や通勤の足として定着している一方、運転手による乗客への迷惑行為や盗撮事件が相次いで表面化してきた。今回の事件が報じられると、SNS上では利用者、とりわけ子を持つ保護者からの反応が相次いだ。「うちの娘も毎日アプリで学校に通っている。他人事ではない」「evaluationの星の数だけでは運転手の素性は分からない」「未成年の乗客には保護者同伴を義務付けるべきでは」といった趣旨の書き込みが並んだ。
アプリ運営会社側の対応についても疑問の声が上がっている。利用者からは「本人確認や犯罪歴チェックはどこまで機能しているのか」との指摘もあり、当局は運営各社に対し運転手の審査体制の強化を求める方針とみられる。
警察は余罪の有無についてさらに捜査を進めるとともに、被害者への心理的なケアも進める方針。男は今後、複数件の性的暴行容疑で送検される見通しだ。便利さの裏側で広がっていた犯行は、タイ社会に配車アプリの安全対策という重い宿題を突きつけている。