中国で36年前に起きた傷害事件に関連してインターポールの「レッド・ノーティス(赤色手配書)」で指名手配されていた中国人の男が13日、タイ東部チョンブリ県バンラムン郡(パタヤ)の住宅で身柄を確保された。男は不正に取得したタイ国籍を使い、実業家として悠々自適の生活を送っていたという。
現地メディアの報道によると、逮捕されたのは朱智山と名乗る男で、タイでは「スチャティ・スラチャイ」というタイ名を使用していた。中国で1990年1月に起きた傷害事件に関与した疑いが持たれている。
2001年に偽タイ国籍を取得
男は事件後にタイへ逃亡し、実に36年間にわたり身を隠し続けてきた。2001年ごろには約5万バーツの手数料を支払ってタイ国籍を不正に取得し、タイ名義の身分証明書を入手。この偽りの身分を使い観光業に長年従事してきたという。表向きは地元に根を下ろした実業家として、周囲から疑われることなく生活を続けてきたとみられる。
捜査の結果、男はチョンブリ県内に計17件、総額1億バーツを超える不動産を所有していたことも判明した。中国人の妻との間に双子の子どもをもうけ、地域社会に溶け込んだ生活を送っていたとみられる。長年にわたり摘発を逃れてきた背景には、正規の身分証明書を得ていたことで当局の目を欺きやすかった事情があるとみられ、当局は今後、資産の取得経緯や、身分証明取得に関与した仲介者の追跡を進める方針だ。
36年ぶりに崩れた「平穏な生活」
36年前の中国での事件当時、男はまだ若く、事件後は足取りを消すように国外へ逃れたとみられる。以来タイでは別人として生きてきたが、インターポールの国際手配網から逃れ続けることはできなかった。今回の逮捕は、国境を越えた指名手配情報の共有体制が、長期潜伏犯の摘発にも着実に効果を上げていることを示している。
複数省庁が連携し捜査継続
今回の摘発は、タイ国内に潜む海外逃亡犯や、不正な手段でタイ国籍・身分証を取得する外国人の存在を改めて浮き彫りにした。パタヤ周辺は外国人の不動産投資や長期滞在が盛んな地域だけに、身分審査の甘さを突く形での「潜伏」がどこまで広がっているのか、当局の追加調査が注目される。タイの移民・警察当局は今後も国際刑事警察機構(インターポール)との連携を強化し、同様の不正在留・資産隠匿事案の摘発を進める構えだ。